迷走タカタ、民事再生法適用を申請した事情 高田会長はやっと辞任の意向、米KSSが支援へ
[東京 26日 ロイター] - エアバッグの大量リコール(回収・無償修理)問題で業績が悪化していたタカタは26日、本社と国内連結子会社2社について民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請、受理された。米国子会社TKホールディングスを含む海外子会社12社も米東部時間の25日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法11条の適用を申請した。欧州、アジアなどでは当事者間の協議による私的整理で再建する。
製造業で戦後最大の破綻
タカタが同日公表した負債総額は15社合計で約3800億円(1ドル=111円で換算)だが、最終的な額はリコール費用を負担している自動車メーカー各社との補償合意ができていないとし、再生手続きを進める中で確定する見通し。東京商工リサーチによると、各自動車メーカーが立て替えているリコール費用を含む負債総額は約1兆7000億円になる見込みで、日本での製造業の経営破綻としては戦後最大となる。
タカタの再建は中国の寧波均勝電子傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティ・システムズ(KSS)が支援する。タカタは問題となったエアバッグ部品のインフレーターなど一部の事業を除き、実質的にすべての事業と資産を1750億円で譲渡することでKSSと基本合意した。2018年3月までに譲渡を完了する予定。
KSSは全世界のタカタ従業員を現在と同等の条件で雇用し、国内製造拠点も維持する方針で、海外での工場や研究開発センターへの投資も計画。両社の事業統合により、世界23カ国に展開する従業員約6万人の自動車安全部品メーカーが誕生する。
タカタは再生手続き開始後の運転資金を確保するため、日系自動車メーカー各社には資金繰りを支援してもらうほか、三井住友銀行からは250億円を上限とする融資(DIPファイナンス)を受ける。
同日午前、東京都内で会見した高田重久会長兼社長は陳謝。事業譲渡までの「適切な時期に経営責任をとって辞任する」と表明した。株式を約6割保有する創業家が今後、株主として残ることも「実質的に不可能」として経営に関与しない意向を示した。
タカタ株は7月27日に上場廃止となり、3本の発行済み社債(300億円が残存)も債務不履行(デフォルト)となる見通し。今後の再生計画の中で弁済率が決まる。