「妥協してまで結婚はしない」と言う人の盲点 30後半からは自分の「市場価値」の現実を見よ

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良雄は言う。「出産については男性側に原因がある場合もあるから、すべてを女性の責任にするつもりはありません。ただ大学時代の友人の奥さんが40歳で子どもを出産したら、ある種の異常を抱えて生まれてきたんです。幸い治療可能のようですけど。もし自分の子どもがそうなって、その異常が深刻だったらと考えるとぞっとするんです」。

ならばなぜ、20代、30代のうちに結婚をしなかったのか。やれやれ。

男性は出産を視野に入れて女性の年齢を区切る。一方女性は女性で、30代後半になってくると、“できるだけ自分の年齢に近い男性、もしくは年下”を結婚相手に望むようになる。子育てにかかる費用や教育費を考えたら、父親は若いほうがいいからだ。

よって、男女お互いが結婚相手に向けているベクトルがすれ違ってしまうために、マッチングが難しくなる。

また、20代の結婚と、30代後半から40オーバーになってからの結婚とでは、そこに臨む意識も違ってくる。20代の時は、男女ともに、“この人と一生一緒にいたい”と恋愛感情を優先して結婚を決めるカップルがほとんどだろう。しかし年を重ねるほどに、“愛するパートナーと一緒にいたい“というよりも“家族を築きたい”という意識が強くなる。

また20代の生活圏内で出会う結婚相手というのは、友人や同僚として時間を重ね、なんらかのきっかけから恋愛感情が生まれて恋人同士に進展するケースが多い。ある程度人間関係が構築されたうえでの恋愛なので、恋人同士になってからもそう簡単に関係が終わることはない。

ところが婚活、ことに「お見合い」の出会いは、“結婚相手を探す”ことが目的であり、どうしても、見た目、年齢、年収、住んでいる場所、仕事内容など、さまざまな条件に目がいってしまう。“条件ありき”の出会いは、見切りをつけるのも早い。1、2度食事をして、“この相手とは合わない”と思えば、さっさと関係を終えてしまう。そこがまた婚活を繰り返してもなかなか結婚へと結びつかない要因になっている。

「妥協してまで結婚したくない」

お見合いをするにあたって、次々と理想の条件を出してくる人たちに、「そんなにストライクゾーンを狭くしていたら、お相手は見つからない」と、どの仲人も言っているはずだ。それを言われたときの答えは、ほぼ決まっている。

「妥協してまで結婚したくない」

そして、「最初は、自分が申し込みをかけたいと思う相手に、まずはかけさせてください」と言ってくる。

良雄もまたしかりだった。入会後、20代の女性40人にお申し込みをかけた。しかし、ひとつも受諾されなかった。現実を知ったであろう彼に、「30代にもお申し込みをかけましょう」と勧めるメールを出すと、こんな返信が来た。

「ある婚活アプリに登録したら、23歳の女性とマッチングできました。来週、ご飯を食べに行く約束をしました」

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