意外と知らないライターという仕事の「裏側」 仕事の中身と収入はこうなっている

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筆者には、この方のようなライターになりたい、という明確なロールモデルがありました。その方は、ノンフィクションライターの上原隆さんです。市井に暮らす、いわゆる“普通の人たち”にスポットを当て、心にグッとくる人間ドラマを書き続けている方です。

この方のような連載を持てるようになりたい、と思っていたのですが、待っているだけでは実現しないことも理解していました。そこでブログを立ち上げ、連載を持った気持ちで記事を書き始めました。それを基にある新聞社に売り込んだところ、まさに自分がしたかった内容の連載を任されたのです。

すべての編集者はいい書き手・企画をつねに探しています。たとえライターとしての実績が少なくとも、自分に可能性を感じてもらえれば、チャンスをもらえることはいくらでもあります。会社員をしながら本を出したり、連載を持ったり、副業をしたりしたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。

怖いと思う前に飛べ

『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

たいした才能もない筆者が、ライターとして何とか食えているのは、取材を通じて出会ったある方の言葉が胸に刻まれているからです。その方とは、プロレスラーの葛西純さんです。葛西さんは蛍光灯や画鋲(がびょう)、カミソリなどを凶器に使う、デスマッチという過激なプロレスで活躍しており、その命知らずなファイトスタイルからカルト的な人気を誇ります。

葛西さんの狂気を表す代名詞として、後楽園ホールの2階から、約7メートルも下にいる相手に向かって、ボディプレス(自分の体で相手を押し潰す技)をする「バルコニーダイブ」という技があります。「怖くないんですか?」と聞いた筆者に、葛西さんはこう答えました。

「怖いと思う前に飛ぶ、それに尽きます!」

行動する前から「失敗するかもしれない」「誰かに迷惑をかけるのでは」などと考えると、自分で可能性を狭めてしまう。そうではなく、自分の心に素直になって足を踏み出そう。そんな姿勢が未来をつくるのだと、痛感させられました。

ライターの仕事の魅力は、普通に暮らしていては知らなかったような、さまざまな世界をのぞけて、さまざまな方に会えることです。そこでたくさんの気づきや感銘を得て、自分を研さんすることもできます。また毎日が刺激的で、飽きることがない仕事だと感じています。もちろん、いいことばかりではありませんが、これ以上ぜいたくを望むとバチが当たりそうなので、この辺にして筆をおかせていただきます。

肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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