交流戦で今年も「パ・リーグ」が圧倒的なワケ なぜ、「セ・リーグ」野球は差を付けられたのか

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星野氏は今季、絶好調の1軍よりもっぱら2軍に顔を出し、自らドラフト指名した選手の成長に目を細めているという。

ドラフトの運不運とは別に、野球の質の違いもある。2015年、貯金を10持って迎えた交流戦で3勝14敗1分けと大きく負け越して貯金をはき出したDeNAの中畑清前監督はこう振り返る。

「パワーに圧倒されたな。西武やソフトバンクは打線の圧力がすごかったし、どの球団も終盤にパワーピッチャーが出てくる。リーグ戦じゃ1、2点リードされていても逆転できると思っていたけど、交流戦では逆に1、2点リードしていても勝っている気がしなかった」

セ・リーグとパ・リーグで「野球の質」が違うワケ

DH制を敷くパと投手が打席に入るセ。パは打線に切れ目がなく、息を抜けるところがない。だからこそ力の投球が必要。打者はそのパワーピッチングに対抗するスイングスピードが求められる。その相乗効果が、セにないパワーを生んでいるのだ。

勝敗とは別に、球場はどこもよく入っている。交流戦1試合平均の観客動員数が前年度を下回ったのは、2010年(2万6884人)から2011年(2万6386人)の1度だけ。昨年は2万9447人で、初年度2005年の2万3449人から25.6%アップしている。

営業的には悪くないのに、試合数は2度削減してきた。ホーム&アウェー3試合ずつの36試合でスタートし、2007年からホーム&アウェー2試合ずつの24試合に。さらに2015年からは対戦カードごとにどちらかのホームで3試合ずつの18試合にした。

いずれもセ側が要望したものだ。これ以上減らそうとすると、もう廃止するしかない。試合数は期間が長すぎず、短すぎもしない現状がちょうどいい。

いっそのこと「人気のセ」もDH制にして、パワーで「実力のパ」に挑んではいかがだろうか。そうすればくじ運も少しはよくなるかもしれない。

(文中一部敬称略)

永瀬 郷太郎 スポーツニッポン新聞社特別編集委員

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ながせ ごうたろう

1955年、岡山市生まれ。早稲田大学卒。1980年、スポーツニッポン新聞東京本社入社。1982年からプロ野球担当になり、巨人、西武の番記者を歴任。2001年から編集委員。2005年に「ドキュメント パ・リーグ発」、2006年は「ボールパークを行く」などの連載記事を手掛ける。共著に『たかが江川されど江川』(新潮社)がある。野球殿堂競技者表彰委員会代表幹事。
 

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