今年の就活は「インターンシップ」から始まる 参加前に大学3年生が知っておくべきこと

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海外の大学生や留学生向けの長期プログラムを実施するのが、マブチモーターとダイキン工業だ。グローバル採用は当たり前になってきているが、外国人にも日本人同様にインターンシップでしっかりと仕事を理解してもらい、会社に根付いてもらいたいという意欲が見える。

会社のイメージとは異なるインターンシップの内容から、その会社の本当の姿や仕事、強化部門が見えてくることもある。

その最たる例がコンビニエンスストア。コンビニ大手のローソンは「コンサルティング体感プログラム」、ファミリーマートは「経営コンサルタント体験」と、コンサルティング体験プログラムを実施している。最大手セブン-イレブン・ジャパンも、同社の「ビジネスインフラを活用した新サービスの創出」という、コンサル分野に相当する課題をインターンの概要に挙げている。

自分に役立つインターンを見つけよう

その理由は、コンビニの社員の仕事は店長の業務ではなく、店舗経営指導(セブン-イレブンではOFC=オペレーション・フィールド・カウンセラーと呼ぶ)だからだ。学生には身近すぎるコンビニであるだけに、コンサル志望の有能な人材を集めたいという思いを表題に込めるのは、本選考ではできにくいことである。

子ども服の西松屋チェーンが実施する「インダストリアルエンジニアリングについて」や、衣料品通信販売のベルーナが行う「データベースマーケティングを体感する」なども同様だ。就活生としては、なぜこのようなプログラムを実施するのかを考えて調べるだけで、志望動機のミスマッチを避けられ、会社研究の第一歩にできるだろう。

なお、ここで紹介したインターンシップ情報は、昨年度の開催実績または調査時点のものとなっている。インターンシップ情報は随時追加・変更されているので、応募の際は必ず最新の情報を企業の採用HPや就職ナビなどで確認していただきたい。

インターンシップは学生にとって、会社の中に入り、社の雰囲気を味わえるばかりか、多くの学生のなかでの自分の相対的な位置がわかり、社員の評価も得られるメリットがある。企業側から見ても、集まった学生に正しく自社を理解してもらったうえで、発表やOJT(職場内訓練)によって、学生をしっかり評価することができる。本選考へのなんらかのつながりが出てくるのは当然といえる。

そういうと、学生はとにかく早くエントリーしなければ、と焦るかもしれない。しかしインターンシップは、これから数次にわたって追加のプログラムが開催される。また、インターンシップで何人も採用したからといって、本選考をしない会社はない。むしろ選考の機会が増えたこの機に、会社の知名度だけに頼らず、企業評価の手法を学び、自分にとって役立つインターンシップに参加し、自分を磨いていくほうが最終的な就活満足度を高めるだろう。

『就職四季報 企業研究・インターンシップ版』では、各社のインターンシップ情報とともに、会社概要を付け、それをどう読み解いて企業・業界研究をすればよいかという内容を盛り込んでいる。インターンシップは、スタートではあるが、終わりではない。会社を見比べ、インターンを「調べて行く」「選んで行く」ことで、後悔のない会社選びを進めてほしい。

赤峰 みどり 教育事業企画室長

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あかみね みどり / Akamine Midori

東洋経済新報社入社後、『東洋経済 統計月報』編集部、受託刊行物編集などを経て、2008~13年まで『就職四季報』編集長。『就職四季報パーフェクト活用術』を同編集部著として2010年刊行。

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