ユニクロ「事業刷新プラン」は時間との戦いだ 実はZARAとの差が広がっている

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2016年9月—17年2月期(中間期)の国内ユニクロのEC比率は6.2%。経済産業省が発表した2016年の衣類・服装雑貨のEC比率は11%で、ユニクロは出遅れていると言える。同社では、早期に30%まで引き上げたいとしているが、そのカギを握るのも「有明センター」だ。

小島ファッションマーケティングの小島健輔代表は、これまでユニクロのECが伸び悩んでいた背景には、物流の問題があったと指摘する。ユニクロは、生産地で検品から仕分けまでを行う方法を取っていた。しかし、あらかじめ仕分けされていることで、ECを含む販売変動に対応することが難しいほか、店舗で過不足が生じたり、作業負担も大きかったという。消費地に「有明センター」のようなピッキングの拠点を持つことで、販売動向に臨機応変に対応することができるようになる、と小島氏はみる。

成否握る「柳井社長の存在」

全社的な大改革が成功するか否かのカギを握るのは「柳井社長の存在」との声が複数から出ている。 風早氏は「儲かっていて、マネージメントの意識が高く、テクノロジーの要求度が高い会社でなければできない改革。付いて行くことのできるアパレルは少ない」と、柳井社長だからこそできると評価する。 一方、小島氏はこうした改革を成功させるには、現場に権限と責任を持たせ、現場と経営陣の「すりあわせ」によって進むことが必要だと指摘。「柳井社長のアジア中央集権的ガバナンスが変わらないと動かない。そこが変わらなければ、成功する可能性はない」と厳しい見方をしている。

(清水律子 編集:北松克朗)

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