日本KFCは、なぜピザハットを売却したのか 宅配ピザ大手3社のシェアが激変している

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日本KFCは直近では2007年に米本社とFC(フランチャイズ)契約を結び直している。契約内容は、2007年12月~2017年11月までは出店費用として1店ごとに100万円を支払うが、10年ごとの契約更新料は無料というものだ。

ただ、今年11月からは金額が変わり、1店当たりに支払う金額は4.19万ドル(約465万円)に、契約更新料も2.09万ドル(約232万円)にハネ上がる。

なお、ロイヤリティは売上高の6%。2012年度までに149店を新たに出店すれば減額される契約になっていたが、この出店数は達成できていない。

日本KFCホールディングスの近藤正樹社長は5月10日の決算会見の場で、「(米国の)本部は相当な勢いで出店することを期待している。それに対し、当社はどちらかと言えばもう少し足元を固めつつやっていきたい。成長のスピードに関する(考え方の)共有がなされていなかった」と、ピザハット売却の背景を説明した。

また会社側は今回の売却について、「長年赤字だったから、FC契約料が上がるから、ということで売るわけではない」「売却は以前から決まっており、(2017年3月期の)黒字化のタイミングは関係ない」と強調している。

ただ、米本社が期待した成長を達成できず、収益も厳しかったピザハット事業を、FC契約の各費用が上昇する直前のタイミングで売却したとみるのは行き過ぎた見方だろうか。

激変する宅配ピザ業界

(注)単位は店 (出所)ピザーラとピザハットは決算期末時点、ドミノ・ピザは米本社のIR資料を基に作成。一部推計を含む

日本の宅配ピザは、1985年に日系ハワイ人のアーネスト・比嘉氏がドミノ・ピザを持ち込んだことに始まる。

その後、輸入商社のフォーシーズが1987年にピザーラを、日本KFCが1991年にピザハットを設立。この3社が牽引する形で拡大してきた。

現在、シェアトップはピザーラだ。同社の資料によれば、1997年から首位の地位にあるという。直営とFCを合わせた直近の店舗数は547店舗、売上高は370億円程度だ。

ただ市場規模は1990年台前半には1400億円程度に達したものが、20年以上にわたって停滞。ピザーラもここ数年は店舗数は微減傾向で、売上高も減収が続いている。

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