サッカー弱小高が全国2冠王者に育ったワケ

柴崎岳を輩出した青森山田高校の育成哲学

2017年1月に行われた「第95回全国高校サッカー選手権」の決勝は、青森山田高校(青森)が、前橋育英高校(群馬)を5-0で破り優勝した。大会得点王に輝いた青森山田のFW鳴海彰人選手に指示を出す黒田剛監督(写真:アフロ)
高校サッカーの新シーズンが4月に始まり、今年もひときわ熱い注目を浴びているのが、青森山田高校サッカー部です。2016年度は、高校サッカー部と全国の高校生年代のJユース(Jリーグ下部組織)の上位20チームが競う「高円宮杯U-18サッカーリーグ2016プレミアリーグ」で、東西各リーグにおいて優勝した2チームのチャンピオンシップ戦(2016年12月)を制して初優勝(4489チームの頂点)。立て続けにトーナメント方式の「全国高校サッカー選手権」でも優勝し、全国2冠を達成するという、華々しい実績を挙げています。
今でこそ、スペインリーグ2部・テネリフェに所属する柴崎岳選手など、多くのプロ選手を輩出し、サッカー強豪校として知られる青森山田高校ですが、かつてはまったくと言っていいほどに無名でした。その青森山田高校サッカー部を「常勝軍団」と言われるまでにしたのが、就任23年目に入った黒田剛監督です。この間、送り出したJリーガーは実に32人。著書『勝ち続ける組織の作り方』にも記されている、人材育成の方法論を明かします。

 

青森山田高校サッカー部の監督に就任したのは、今から22年前の1995年のことです。当時、私は25歳で監督の経験は一切なく、大学を卒業後、ホテルと公立高校で数カ月間だけ働き、あとは少しの間、高校でコーチをしただけ、という状況でした。

言うまでもなく、その頃のサッカー部も、常勝軍団といわれる今の姿からはほど遠いものでした。グラウンドはラグビー部と共用。しかも人工芝ではなく、土でボコボコのひどい状態でした。部員はチーム発足時には18人で、技術的にも精神的にも未熟。それでも監督をする以上、どうしても全国大会に出場したかったし、勝てるチームを作りたかった。初めはとにかく、がむしゃらな気持ちで、まずは日常生活で良い習慣を身につけさせることからスタートしました。

「雪国」のハンデを覆すために考えたこと

しかし、現実に目を向けると、「雪国」という自然環境のハンディキャップはやはり厳しい。最初はそう感じたのも事実です。青森山田高校のある青森市は、年の3分の1は雪で覆われる豪雪地帯。12月から2月の厳冬期には、高さ2.44メートルのサッカーゴールの半分以上が雪で埋もれてしまいます。

いつでもグラウンドで心おきなくサッカーができるチームがたくさんある中で、青森山田高校の選手たちには、それができないのです。

とはいえ、与えられている時間は平等。その期間に何に取り組むかが、勝敗を左右するのは間違いありません。私は「逆転の発想」をすることにしました。グラウンドに雪が積もってしまい、通常のサッカーの練習ができない。ならば、どうすればいいか。

「雪の上でしかできない練習」を行い、雪をチームの強化にうまく利用すればいい。そう考えて取り入れたのが、雪の上での練習(雪中サッカー)、そして、3月には練習スペースを確保するために、筋力トレーニングを兼ねてグラウンドの雪かきをすることです。

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