フジテレビ「新しい波24」が映す若手の閉塞感 ナイナイ輩出の番組復活に低迷の理由がある

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余談ですが、昨年末放送されたパイロット版には、今をときめくブルゾンちえみさんがメンバー入りしていました。予想を超えるブレークによってメンバーから外れてしまいましたが、「俺たちは芸人を見る目があるんだ」と自信を持って攻めの姿勢で挑むことが局面打開につながる気がします。

他局は新機軸の若手芸人番組を模索

ここまで新番組「新しい波24」を通じて、フジテレビが近年の低迷を抜け出せない理由として、「“無難な方法”という新たな社風」「若手社員の姿勢と管理職の育て方」「過去の成功にとらわれる」の3点を挙げてきました。

他局の同系番組に目を向けてみると、日本テレビが約50人の若手芸人がゲストを“ガヤ芸”でおもてなしする「ウチのガヤがすみません!」(毎週火曜23時59分~24時54分)、テレビ朝日が30人の若手芸人がスマホ動画の面白さを競い合う「バクモン学園~鬼教師・太田と委員長・田中と芸人30人の物語~」(毎週月曜24時15分~24時45分)をスタートさせました。どちらも「今どんな形なら若手芸人がウケるのか?」という新たな形を模索している様子がうかがえます。

その点で、過去シリーズよりもさらに無難な形を採用したフジテレビの「新しい波24」が、比較上「物足りなさを感じる」「古く見えてしまう」のは必然。まだスタートしたばかりであり、今からでも決して遅くはありません。「過去よりも未来に目を向け、新たな場所へ踏み出す」ための環境づくりが急務ではないでしょうか。

これを読んでいる人の中には、「オレたちひょうきん族」「夢で逢えたら」「めちゃ×2イケてるッ!」など、フジテレビの芸人バラエティ番組を見て育ったかつてのテレビっ子も少なくないでしょう。厳しいことも書きましたが、私もその一人であり、1日でも早い低迷期の脱出を心待ちにしています。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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