トヨタ進出で激化、メキシコの「人材争奪戦」

日系自動車企業が相次ぎ進出、人不足が鮮明

グアナファト州にあるトヨタ自動車の工場建設予定地の近くには、大きな看板が建てられていた(記者撮影)

「Bienvenidos!」「Welcome」「ようこそ」

ここ数年、日系自動車メーカーや部品メーカーの進出が相次いでいるのが、中米最大の国・メキシコだ。4月、同国最大の自動車製造拠点となっているグアナファト州を訪れた。州内最大の工業団地に近づくと、スペイン語や英語に交じって日本語でも歓迎の気持ちを示す看板が目に飛び込んできた。

マツダのメキシコ工場(記者撮影)

メキシコの中央高原(バヒオ地区)に位置するグアナファト州には、日系の自動車関連企業の進出がこの3~4年で一気に進んだ。2014年にマツダとホンダの新工場が操業を始めたのに合わせ、日系の自動車部品メーカーが大挙して押し寄せた。州内には外資系の自動車関連企業220社以上が進出しているが、米国系やドイツ系を抑えて、日系企業が最多の4割以上を占める。

ついにトヨタも新工場が稼働へ

2019年にはグアナファト州東部にトヨタ自動車の新工場が稼働し、小型セダン「カローラ」の生産を年間20万台規模で始める予定だ。20年以上の操業実績がある米ゼネラル・モーターズ(GM)や日野自動車も含めれば、州内で完成車を組み立てる自動車メーカーは5社にまで増える。

自動車ブームはグアナファト州だけではない。隣接するアグアスカリエンテス州では、日産自動車と独ダイムラーが合弁工場を建設中だ。2017年度中にも稼働し、日産とダイムラーそれぞれが擁する高級車ブランド、「インフィニティ」と「メルセデス・ベンツ」のコンパクトカーの生産を順次始める。近隣のサンルイスポトシ州では独BMWの新工場が2019年に稼働し、主力セダン「3シリーズ」を年15万台生産する。

メキシコの自動車産業は急速に成長している。過去10年で自動車生産は2倍近くに拡大。2016年の生産台数約350万台のうち、8割の約280万台を輸出している。自動車輸出国としては日本、ドイツに次いで世界3位だ。

米国へと線路が続いている輸送鉄道(記者撮影)

自動車メーカーにとっては、ドル箱市場の米国に隣接していることが大きい。北米自由貿易協定(NAFTA)により、部品の62.5%以上を北米域内で生産されたものにすれば、米国やカナダへ関税なしで輸出できる。

高速道路や鉄道が米国に通じており、輸送もしやすい。また、米国の6分の1という労働コストの安さもメーカーにとっては大きな魅力だ。

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