ニッポンの石油化学、静かに迫る危機

三菱ケミ-旭化成連合、エチレン1基停止へ

旭化成ケミカルズ・水島製造所の化学品プラント

静かに。しかし、確実に危機は迫りつつある。

三菱ケミカルホールディングスと旭化成は8月2日、水島地区(岡山県倉敷市)の石油化学コンビナートで一体運営するエチレン製造設備2基について、2016年春をメドに1基へ集約する方向で検討を本格化していくと発表した。旭化成側のプラントを停止することを前提として、今年度末となる2014年3月までをメドに結論を出す。正式決定すれば、年間で約100万tのエチレン生産能力をほぼ半減。両社併せて年間100億円のコスト削減が見込まれるという。

両社は2011年4月に、水島地区におけるエチレンプラント2基の一体運営を開始。設備集約などを検討してきたが、「日本の石化産業の国際展開を考慮したうえで、エチレンをどう安くするかという観点で、規模が若干大きい三菱のプラントを残す方向での決断に至った」と、三菱化学の石塚博昭社長は同日、東京都内で開いた会見で述べた。

エチレンは石油化学製品のおおもと

エチレンとは、プラスチック(合成樹脂)やゴム、合繊原料、塗料原料、合成洗剤など、石油化学(石化)製品のおおもとになる原料で、日本では石油から取り出されるナフサ(粗製ガソリン)をベースとしている。石化製品は自動車、家電製品、携帯電話、衣服、日用品など、身の回りにあふれるさまざまな製品に使われる。

日本の化学産業は出荷額40兆円と自動車に次ぐ国内2位、従業員数88万人は国内製造業で同3位(2010年、経済産業省)に位置する。その中における代表的な存在である日本の石化産業は、ここ数年で急速に国際競争力が低下している。

次ページ最近の生産実績は?
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
JR九州“脱鉄道”の成算

今年、上場を果たしたJR九州。豪華寝台列車「ななつ星in九州」は話題になった。しかし、人口減少などもあって鉄道事業の先行きは暗い。成長は非鉄道事業の成否に懸かっている。