池上彰+佐藤優「SNS、最強の使い方」はこれだ たった「これだけ」で、効率が一気に上がる

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佐藤:まずはSNSの「罠」から話しましょう。ひとつめの問題は、「時間を浪費して、インプットの時間がむしばまれる」ことです。

2人がSNSを使わない理由

【SNSの危険性1】時間を浪費し、インプットの時間をむしばむ
池上 彰(いけがみ あきら)/ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。NHKで記者やキャスターを歴任後、2005年よりフリージャーナリストとして多方面で活躍中。現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授(撮影:今井康一)

佐藤:5~10分のすき間時間には、スマホでSNSをやっている人が多いですよね。でも私自身は、同じすき間時間なら、「dマガジン」で電子版の雑誌を眺めているほうがインプットの効率ははるかにいいし、娯楽としてもよほど楽しいと思っています。

池上:私がいくらすすめられてもツイッターをやらないのも、それが理由なんです。将来的には、やる可能性がゼロとは言えませんが、少なくとも現時点では、そんな時間があるなら少しでもたくさん本を読んで、自分の中で咀嚼(そしゃく)する時間に充てたいですから。

佐藤:誰にとっても1日は24時間で「時間は希少材」です。「SNSばかり見て大事な時間をムダにしていないか」、一度、冷静になって振り返ってみるのも大切ですね。

【SNSの危険性2】「デマ」「個人の思いつき」「偏見」も多い

佐藤:それに、SNSで流れてくる情報の中には「情報の質」そのものの問題もあります。

池上:SNSの投稿の中には、専門家が書いた優れたものもありますが、「デマ」や「思いつき」「偏見」も数多く見受けられますからね。

佐藤:そうなんです。マスメディアの記事は、その情報が報道する価値があるものなのかを判断して取捨選択する「編集」の過程を経ています。でもネットの個人サイトでは、「無責任な内容」や「偏見を含んだ論説」もそのまま載ってしまいます。

池上:それに、記事の内容をチェックする「校閲」の過程も経ていないので、明らかに事実関係を間違えている記事もしばしば目にしますね。さらにネット、特にSNSでは、その誤りを「裏を取る」こともなく、安易に拡散してしまう人も少なくありません。

佐藤:SNSだけではありませんが、ネット空間は「ノイズ過多」なので、情報の真偽を見極めるのは、非常に難しいと思います。

【SNSの危険性3】「自分が知りたい情報」だけが集まり、情報が偏る

佐藤:もうひとつ重要なのが、ネットには「特定の情報や意見」が大きく見えたり、別のものが見えなくなったりする「プリズム効果」があることです。

池上:ネット空間では、自分の考えを補強する都合のいい情報が欲しければ、いくらでも見つけ出せますからね。自分が好きな人をフォローするツイッターや、友人からの情報が入ってくるフェイスブックは、特にその傾向が顕著です。

佐藤:ネット上には非常に多くの情報があふれているので、「視野が広くなる」と勘違いしている人がいますが、「知りたいことだけ知ることができる」のがよくも悪くもネットの特徴です。よほど気をつけて使わないと、視野も狭くなるし、偏見も増長しかねませんね。

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