日本株はそろそろ底入れするかもしれない 「下げすぎの反動」があってもおかしくない

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反発力のカギとなるのは、20日から本格的に始まる3月期決算企業の業績発表です。地政学リスクが良好な企業業績を覆い隠しているだけなのでしょうか。2017年は世界経済の3.3%程度の成長が見込まれる中、企業側の今期見通しにどの程度反映されるかが焦点ですが、足元の円高を踏まえれば控えめな見通しになることが予想されます。ただ、決算発表期間にドル円相場が反転するパターンはよくあることです。足元の円高が一巡して円安方向に戻す動きがみられれば、控えめな見通しが上方修正期待に変化します。はたして、今回はそのパターンが当てはまるかどうかです。

証券会社のアナリストによる決算プレビューがなくなった今、決算前の機関投資家の買いが手控えられる傾向にあります。足元、2月決算銘柄が堅調に推移しているのは、業績の数値が明らかになった安心感で買いが入りやすいためでしょう。

つまり、「3月決算企業への投資スタンスも内容を見てから勝負」といった大口投資家が多く、いつもながらの短期資金による「決算プレー」(新年度の計画などにからんで売買をすること)に加え、新年度入りにもかかわらず滞留している国内の機関投資家の行動や、リバランス(銘柄入れ替え)にとどめている海外投資家の買い越しに転じるか、という意味でのスタンスの変化が注目されます。たぶん、決算発表直後に短期資金で値が荒くなる銘柄が続出するのでしょうが、乱高下が一巡するのを待ってから、好業績株には長期資金を入れてくる可能性は十分考えられます。

「下げすぎの反動」がそろそろ見られるか?

直近の日経平均株価は1月18日の安値(1万8650円)を下回りました。テクニカル面では25日間の移動平均線が75日間の移動平均線を下回る「デッドクロス」が示現し、短期的には弱気の見方が優先されそうです。前回ご案内した「ボリンジャーバンド」というテクニカル指標で見ると、昨年12月以降のモミ合い相場ではバンドの上限と下限の間で動いていましたが、現在はバンドの下限が下げトレンドに入り、それに沿って株価は下値模索になっています。

一方、週足のローソク足でみると、5週連続の陰線となりました。実は、週足で5週連続の陰線となるのは2012年8月以来というほど、まれな動きです。その意味では、先安への暗示ともとれますが、下げすぎた反動がそろそろみられると考えたほうがよさそうです。

ただし、1月18日安値が上値のフシ(当面の天井)になりやすいほか、累積売買代金が多い1万9000~1万9500円(120兆円、4月17日現在)は戻り売り圧力が強くなることが予想されるため、値幅の調整は終わっても、日柄の調整はしばらく続く可能性が高いのではないでしょうか。当初、私は4~5月は今年で最もいい時期になると予想しましたが、残念ながら、去年のように4月後半からの急反発でもないかぎりは、結局、年を通じて最も閑散な時期になってしまうかもしれません。

当面の日経平均の下値メドは、4月17日の安値や昨年12月7日までのモミ合いの下限である1万8200円前後でしょうか。もし、さらに下落するなら、昨年の4月25日である高値1万7613円~1万7685円などが考えられそうです。

さて5月20日(土)、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のために、福岡・博多でセミナーを開催いたします。講師は、ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャー氏です(今秋は東京・大阪でも開催予定)。もちろん、日本語の通訳もつきます。

ボリンジャー氏が自ら開発した「武器」を使って日本株を分析すると、どのように映るのでしょうか? 今後は上昇でしょうか、それとも下落でしょうか。ご興味のある方は、NTAAのHPの専用フォームから、ぜひお申し込みください。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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