所沢が「埼玉の人口争奪戦」独り負けの理由 急減した人口は「入間や狹山」に流出していた

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まずは、県庁所在地であるさいたま市を見てみよう。県内の他市町村からの転入が4万2936人、他市町村への転出が4万1175人。したがって転入超過人口は1761人。特に25~29歳だけでも転入超過人口は1088人と多い。

さいたま市の魅力は、住宅地があるだけでなく、文教都市浦和があり、交通の便が良く、そして商業娯楽が充実した大宮もあるという総合力があるからだろう(筆者撮影)

市町村別では、川口市からの転入超過人口が多く2004人。年齢別では30~49歳が957人、ゼロ~9歳が622人と多く、ファミリー層が流入していることがわかる。子育て世帯の転入超過が多いのは、浦和区などの教育環境の良さを求めたのではないかと推測する。

逆にさいたま市からの転出のほうが多いのは上尾市であり、転入超過人口がマイナス、つまり転出超過人口は818人。そして蓮田市(224人)、伊奈町(433人)、吉川市(257人)、白岡市(同294人)と続く。

これらはJR高崎線や宇都宮線沿線の駅がある自治体であり、近年は湘南新宿ラインによって都心にも副都心にも50~60分で行けるようになっているため人気が出たのであろう。

県外との関係を見ると、東京都からは転入超過が4546人。23区だけだと3724人。ただ、23区全体で見ると30代だけでも2219人、ゼロ~9歳では1255人が転入超過である。続いて練馬区が642人、板橋区が565人。北区が550人。つまり埼玉県に隣接する区からの転入超過が多い。

他方、中央区は転入超過のマイナス、すなわち転出超過人口が103人。文京区は118人。都心に人口が奪われている。特に若い世代は転出超過であり、20代では1391人。区別では江東区、品川区、大田区、豊島区、北区において100人以上転出超過である。

川口市は、23区からの人口流入が100人以上!

次に見るのは、川口市。県内他市区町村からの転入が1万8878人、他市町村への転出が2万2242人。転出人口、転入人口ともに大きく、前述のようにさいたま市への転出超過人口が多い。一方、23区のうち17区から100人以上が転入超過である。

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