米国が北朝鮮を攻撃する「Xデー」はいつか 核兵器開発を傍観しているわけにいかない
米国のレックス・ティラーソン国務長官は、北朝鮮に対するワシントンの「戦略的忍耐」は終わった、と宣言した。北朝鮮による核兵器開発への野心を鈍らせるため、「あらゆる選択肢が検討されている」と警告し、また米軍と韓国軍は軍事的シナリオを視野に準備している。
4月末まで行われる軍事演習には、30万人もの主に韓国と米国の兵員がかかわっている。1953年に停戦した朝鮮戦争以来、こうした演習は朝鮮半島の日常を特徴づけるものとなってきた。しかし近年、演習はより大規模に、より現実に即すようになっている。
米国が「次のステップ」に進む可能性は高まっている
少なくともビル・クリントン以降のすべての米国大統領は、北朝鮮の兵器開発計画に直面し、これに対処するために、潜在的な軍事行動も含めた提案をしてきている。
これまでのところ、攻撃を試みようとする大統領はいなかった。それは、すべての選択肢が好ましくなく、特に朝鮮半島、さらにそれより広範囲の地域が北朝鮮からの報復を受けかねないからだった。最悪の場合、朝鮮半島における戦闘は、米国を中国との戦争に引きずり込む可能性があり、これは朝鮮戦争のときも同様だった。
しかし、北朝鮮政府がミサイル実験を続ける中、多くの専門家は米国が最終的に、こうした「ステップ」に至る可能性は徐々に高まっていると考えている。
ドナルド・トランプ大統領は、北朝鮮が、米国を核兵器で攻撃する能力を開発することを許さないと明言している。しかし、トランプ大統領が北朝鮮の施設に対する限定攻撃を命じたとしても、北朝鮮の核兵器開発が止まることはないだろう。それどころか、この攻撃が北朝鮮の激しい報復を呼び起こしかねない。
それを考えると、米国がミサイル実験を止めるために、経済制裁やサイバー攻撃のような、別の手段にこだわることは不思議ではない。最近になって、日本と韓国を「守る」ために、高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」が配備されたが、これが北朝鮮のミサイルに対してどれほど有効なのかは、実のところ定かではない。