将棋連盟、動議で幹部3人解任の「異常事態」

漂流続ける将棋界に次々浮上する問題

2月27日の会見で、この点について聞かれると、佐藤会長は「三浦さんへの補償や名誉回復の問題もございますので、そちらの方を進めて前に行けるようにと考えている」と、あくまでも三浦九段への補償や名誉回復問題が優先するとの考え方を示し、そのうえで「常務会としても渡辺さんと話す機会はあるが、現時点で(渡辺竜王が釈明する機会を連盟が設けるかどうかを話す)予定はございません」とした。

しかし渡辺竜王が「釈明する」と言っている以上、連盟の会員もそれを直接聞きたいに違いない。いつまでも「予定はない」と言い続けるわけにもいかないだろう。

報告書と三浦九段の言い分に食い違い

もう一つは「再調査」の問題である。第三者報告書は提出されたが、報告書には三浦九段の言い分と食い違う点があるとされる。たとえば、三浦九段が提出を求められた「休場届」について。三浦九段側は「『竜王戦が開催されないことになるから休場届を出してくれ』と言われた」としているのに対し、報告書の「概要版」によれば、「三浦棋士が当面は休場扱いにしてもらってその間に徹底的に調べて欲しいという意向を示した」ことになっている。

「連盟として再調査をするつもりはあるのか」と問われて、佐藤会長は「報告書を基に(三浦九段側の弁護士と)話を進めている状況であり、改めて調査するという形は考えていない」と再調査を否定した。「連盟としてどうあるべきだったかは(再考する)必要があるのかも知れない」としつつも、「和解の話を進めている最中ですので、改めて調査するということは考えていない。基本的な連盟の方針として変わりはない」と繰り返した。ちなみに、佐藤会長はその後「和解の話」を「名誉回復、補償の話」と言い換えており、そこから連盟が三浦九段側と訴訟ではなく話し合いで解決しようとしていることがうかがえる。

連日、将棋ファンで賑わう東京・千駄ケ谷の本部・将棋道場。熱心な将棋ファンの存在こそが連盟の最大の財産だ(撮影:今井康一)

3つめは第三者報告書の要約版ではなく、オリジナル版の公開問題である。将棋観戦記者やプロ棋士の間から情報開示を求める声が広がっている。これについて佐藤会長は「今日以降、棋士には閲覧できる状況になっている」とする一方、「一般の方向けにはちょっと難しいのかな」と会員限定で開示を始めることを明言した。

谷川・島辞任から佐藤・井上就任、そして今回の3人解任は、すべてプロ棋士らの連盟への不満という1本の線でつながる。連盟への不満とは、三浦九段事件を第三者委員会の報告で幕引きとしようとすることへの不満に違いない。

わずか30分の会見で佐藤会長は「前に向かいたい」「勝負を終えたら棋士は次(の対局)に向かうもの」と何度も強調した。だが、前に向かうには真実をきちんと明らかにすべきという、プロ棋士らの思いに応えなければならない。そうしなければ、6月の定時総会での佐藤会長自らの再任すら危うくなりかねない。

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