保護者は子どもの指導を学校に丸投げするな 「教育困難校」の教師は追い詰められている
この連載を読んでくださっている「教育困難校」現役教師の方の匿名ブログを拝読した。生徒のためにと日夜奮闘しながらも、その真意を酌み取ろうとしない生徒の言動に教師としてだけでなく人間としての尊厳をも傷つけられている方の悲痛な叫びには、同じ体験をした者として魂を揺さぶられる思いがある。
この方のブログの中に次のような言葉がある。
「最近、東洋経済オンラインの教育困難校シリーズを読むと泣きたくなる。これ、うちの職場の話だ、と思って、泣きたくなる。これ、どこにでもある話なのかな。日本全国? 日本、まずくない?」
「教育困難校」は全国にある
「教育困難校」は確実に全国にある。現在の「教育困難校」は、ある地域や特定の個人の問題が原因で生まれたものではなく、日本の学校制度や社会の変化、さらに学びに対する意識の変化などが生み出した存在だからだ。
公立高校教員は、原則として設置母体である都道府県などの中での異動があるだけなので、他の地域のことをなかなか知り得ない。参加者が広範囲から集まる研究会や研修会に参加すれば、他地域の高校の状況を知ることもできるが、そもそも「教育困難校」教員はそのような研究会や研修会に参加することが難しい。
出張すると、自分が持っている授業の自習監督にあたる教員に大きな負担がかかることがわかるので、研修会などに行きたくとも遠慮してしまうのだ。そのため、教員は1つの学校内にうずくまり、孤立し、誰かに辛さや苦しさを相談したり、自分の置かれた現実を客観的に見ることができなくなる。そして、「生徒が思うように動かないのは自分の力不足が原因」と自分自身を責めるようになる。先ほどのブログ作成者の疑問は、このような環境にある教員が当然持つものなのだ。
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