知らないと損をする!年金「4つの豆知識」 キーワードは「10年」

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老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間、保険料をすべて納付した場合は、78万100円(平成28年度)になります。また、保険料は1万6260円(平成28年度)になります。そこで計算すると、

78万100円÷480月(40年)=1625円

つまり、保険料を1カ月納付するごとに将来の年金が、年間1625円ずつ増額されるという計算になります。

ですから、元を取るためには、1万6260円÷1625=約10年ということになるわけです。

したがって、老齢基礎年金は計算上、10年以上もらうことができれば、元が取れる制度ということです。

ちなみに、現在の受給開始年齢は65歳なので、75歳以上まで生きていれば損はしないことになります。将来的には受給開始年齢を70歳に引き上げるような話も出ていますが、とりあえず、長生きすればその分多くもらえる年金。健康で長生きしたいものですね。

保険料を払うことが難しい場合は

4、免除制度等も活用しよう

人生いろいろ。安定した仕事について、生活が順調なときもあれば、退職等により収入がなくなり生活が厳しいときもあるわけです。そういったときは、国民年金には免除や猶予制度があるので自分が該当するかどうか確認することが大事です。

保険料免除や納付猶予になった期間は、年金をもらうために必要な10年にもカウントしてくれますし、老齢基礎年金の金額にも一定程度反映してくれる場合もあります。

ケガをした場合にもらえる障害年金や家族がなくなった場合にもらえる遺族年金は、老齢年金と異なり保険料を払っていないと受給できなくなってしまいます。しかし、保険料免除や猶予期間は未納期間ではないので、いざというときに大きな違いがでてきます。免除、納付猶予制度は、所得基準以外にも、失業中の場合、学生の場合、配偶者からDVを受けているような場合も対象となるケースがあります。いざというときのためにも、保険料を払うことが難しい場合は免除や猶予の申請を忘れずにしましょう。

年金については、自分が保険料を掛けていた分はもらえない、将来破綻するのではと思っている方もおられますが、まずは、年金制度をきちんと理解し、自分の老後を考えて行動することが大事です。

武澤 健太郎 大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

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たけざわ けんたろう

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 労務コンサルティング事業部執行役員(銀座第3室室長兼務)。2011年9月に経営労務監査プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、数多くの労務監査を手掛ける。2012年5月に特定社会保険労務士を付記するとともに、多数のクライアントより個別労使紛争を含む労務相談を受ける。そして、2013年9月には、海外進出プロジェクト担当リーダーに就任し、アジアを中心とした海外進出に必要な労務管理、労働社会保険のアドバイスを積極的に行っている。
 

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