BBCがフェイクニュース対策で新機軸 連載「リアリティーチェック」の狙い
偽情報のオンライン拡散への対抗姿勢を強めているBBC(英国放送協会)。このたび、ニュース編集室の中心に嘘を暴く特命ユニットを設置した。
「BBCニュース(BBC News)」でエディトリアルディレクターを務めるジェイミー・アンガス氏によると、チームに配属されたのは現在6人で、倍に増員する計画も進行しているという。この新チームの仕事は、裏が取れていないニュースや、事実を装うニュースを取り上げ、徹底的に検証するテキスト記事や動画を作成することだ。これらのコンテンツは「リアリティーチェック(Reality Check)」というシリーズ名で掲載される。BBCがこれを開始したのは、オーディエンスが英国のEU離脱(ブレグジット)におびえ、事実に対する彼らの信頼が揺らいでいた、英国の国民投票(EUレファレンダム)のときだ。
「スローニュース」の流れ
アンガス氏によると、編集のリソースを集中させるべき対象に優先順位をつけることで、ニュース編集室におけるワークフローの力関係が次第に変わってきたという。調査チームがどの偽情報に絞って暴くかを見極めることは、いまや朝のニュース会議の中心になっている。1年前ではありえなかったことだ。
「リアリティーチェックを要請するのに必要な疑問の種類によって、ワークフローが変わってくる」と、アンガス氏は語る。「きょう我々は論争の的になっている事項のどれについて真相を究められるのか、それをリアリティーチェックのフォーマットに収めるにはどうしたらいいか、という疑問が、我々の朝のニュース会議の中心になっている」。
リアリティーチェックのフォーマットを強化することは、最近BBCがいわゆる「スローニュース」の作成にコミットしていることと歩調を合わせている。それが意味するのは、同社の代名詞であるニュース速報からの転換ではない。今後はより多くのリソースを、作成に時間がかかるデータ視覚化や統計データ主導型の記事とともに、長尺の綿密なテキスト記事や解説動画の掲載にも注入していくということだ。