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「みがかずば」の精神に基づき
イノベーションを創出し続ける
理工系グローバルリーダーの育成

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
お茶の水女子大学が、未来のグローバルリーダー育成のために立ち上げた「グローバル理工学副専攻プログラム」が4年目を迎える。広い視野を持つ理系女性博士人材育成の取り組みは、社会変革の中で多様性を求める企業の期待を集めている。

英語による専門授業と博士課程リベラルアーツ

お茶の水女子大学は、世界屈指の女子大学として徹底した少人数教育で優れた教育と研究成果を積み上げてきた。「『みがかずば』の精神に基づきイノベーションを創出し続ける理工系グローバルリーダーの育成」が文部科学省の「博士課程教育リーディングプログラム」に採択され、2014年度に「グローバル理工学副専攻」を開設してプログラムを推進している。

プログラム名の「みがかずば」は、原石としての自分自身を磨き上げることの必要性を謳った校歌の一節に基づいている。対象はライフサイエンス(食品栄養科学、人間・環境科学、生命科学、遺伝カウンセリング)と理学(数学、物理科学、化学・生物化学、情報科学)の理系両専攻の大学院博士前期・後期課程の学生である。

学生は、従来の主専攻の専門力に加え、副専攻を通じて1.イノベーションを創成する基盤力、2.グローバル力、3.プロジェクト推進を通じたリーダー力の三つの力を幅広く身に付け、社会の多様な変化に柔軟に対応する力を付ける。まさに、「専門分野にとどまることなくグローバルに活躍できる」女性リーダーの育成を目指すプログラムである。

1.のイノベーション創成基盤力の強化では、専門外の研究者らとのコミュニケーションの共通基盤を固め、異分野交流によるイノベーションを起こす準備として数学、物理、情報、化学、生物、工学の広範な理系科目の基礎について外国人教員が英語で開講する「Essential 科目群(講義)」、さらに、学内の最先端機器を用いて各分野の研究の最前線を実体験する「グローバル理工学特別実習」を開講して、学生たちの幅広い基盤力を強化している。

2.のグローバル力を強化する科目では、プレゼンテーションスキルも含めた英語力のほか、グローバル社会でのコミュニケーションに必須の高い教養として、哲学、倫理、歴史、文化・芸術を英語で学ぶ博士課程リベラルアーツ科目を設定した。また、社会で活躍している同大学の卒業生をロールモデルとして招き、その体験談からリーダーに必要な力について考えるきっかけを与えるなど、充実したキャリア教育を行っている。

社会ニーズを見極め、ゼロから課題を見つけ、その解決に分野横断的なチームで取り組むPBTSはプログラムの最大の目玉だ

プロジェクト推進でリーダー力を強化

グローバル理工学副専攻の中でも最大の目玉が、プロジェクトチームを作って分野横断的なテーマを追求するPBTS(Project Based Team Study)だ。ラーニング(習う)ではなく、あえてスタディ(学ぶ)とした理由は、与えられたテーマを解決するために決められたレール上を進む(習う)のではなく、ゼロから課題を見つけ、その解決に取り組むという主体的プロセスを重視している点にある。

まさに企業活動に倣った取り組みである。学生は社会ニーズに応えられるプロジェクトターゲットを発掘する。多様な専門性を持つ仲間を集めてチームを作り(海外からの留学生も参画)、自分たちが主体となりプロジェクトの課題設定・計画・実施・マネジメントを含めて目標達成まで網羅実行することで、幅広い実践力を培う。3期生を迎えた今年度は「抗老化を助けるお茶の開発」や「食品工場排水中の油分処理」など、全7チームが独自の発想で、中には企業と連携しつつ、プロジェクトを推進している。

ここでの主言語は英語である。毎週開かれるPBTSには外国人教員がオブザーバーとして出席、学生は英語でプロジェクトを推進している。ここでもグローバル力の強化が図られているというわけだ。

さらに、プログラムでは、学生に、国内外の研究機関、企業、他大学などへインターンシップに行く機会を与えている。「グローバル研修」と呼ばれ、前期課程3~6ヵ月、後期課程6~12ヵ月と2度にわたった長期研修だ。学生は、研修の成果をPBTSに役立てる。また、研修先は、学生自身が見つけることを前提としている。今年度は、国内企業3、文科省、国内研究機関2、海外企業1、海外研究機関4などへ派遣した。学生は学外での就業(研究)体験により格段に柔軟性と人間力の幅を広げたという。

お茶の水女子大学長
室伏 きみ子

2004年の国立大学法人化に際して「学ぶ意欲のあるすべての女性にとって、真摯な夢の実現の場として存在する」という標語を掲げたお茶の水女子大学。今年で創立142年を迎える。グローバル教育とあわせてリベラルアーツ教育、リーダーシップ教育を柱に高度な教養と専門性を備える女性リーダーを社会に輩出してきた。多様性推進、働き方改革の流れを踏まえ、女性人材への企業の期待が高まる中、お茶の水女子大学の新たな取り組みが注目される。

来年度末には本プログラム最初の博士修了生が巣立つ予定であり、彼女たちの未来に期待が集まっている。

自立心旺盛な女子大出身者に期待


株式会社IHI 執行役員
調達企画本部 本部長
水本 伸子
 お茶の水女子大学大学院理学研究科物理学専攻を修了して1982年に株式会社IHIで初の女性技術系社員として採用され、2014年に執行役員に就任しました。女性活用は、企業が変化の時代を乗り切るのに必要な多様性の獲得に必須です。それには制度の充実も大切ですが、最も重要なのは働きがいだと思います。経験の機会を与え、女性社員を真剣に育てることが企業側に求められます。
 株式会社IHIは、私が執行役員に就任した2014年に1.9%だった管理職の女性比率を2020年度までに3.5%以上にする目標を掲げ、東京証券取引所と経済産業省のなでしこ銘柄にも選定されています。ただ、工学・理学系は女子学生数が少なく、採用には苦労しているのが現状です。女子大出身者は、男女差をあまり気にせず、何事も自分でやる自立心・独立心が強いため、男性コミュニティにも適応しやすいと思います。お茶の水女子大学の博士課程教育リーディングプログラムには、実践的なプロジェクト推進を通じて、仮説検証プロセスをきちんと身に付けた多くの女性人材を輩出してくれることを期待します。

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