子どもの「苦手意識」を根本から変える3法則 我慢してやらせ続けても、効果は薄い

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では、ポジティブアプローチである、「苦手転換法」を3つご紹介しましょう。

「苦手転換法」をご紹介

1)ゲーム言葉を使う

1つは、「ゲーム言葉」を使うということです。

ゲームでは、苦手な状況があるからといって避けていてはステップアップできません。それを克服することにやりがいを感じ、挑戦していくから、先に進めるのです。そこで、ゲーム言葉を使って、「苦手→チャレンジ」としてしまうのです。

そのときに使う言葉として、子どもが親しみのあるゲームで使用される言葉を使うのがコツです。たとえば、「バージョンアップ」「ミッション」「進化」などです。「いよいよこれができると進化するよ」などと使っていくと、視点が嫌なことから、面白そうなことに変わっていきます。

2)プロセス評価をする

わずかな変化を評価しましょう。結果に対する評価ではなく、過程(プロセス)の評価をします。

通常は、100点取ってきたら「すばらしい!」、20点だと「何やってるの!」と言ったり、結果を評価しますね。そうではなく、苦手な問題をやっていて、今までまったくできない状態から、1問できるようになったら、進歩ととらえ、評価するのです。

もっと言ってしまえば、今までまったく苦手なことに手をつけなかったのが、手をつけるようになったということでも進歩です。それも評価します。ほんの“わずかなプラス”の過程を評価していくのです。

このとき注意したいのは、前よりも結果が悪くなったとしても、マイナス評価はしないということ。人間の心はそんな簡単にはプラスの状態を維持できないので、結果が出るまでにやる気がなくなってしまいます(これは、子ども手帳という仕組みを作りましたので、参考にされたい方は、文末の書籍をご覧ください)。

3)「サンドイッチ方式」を使う

これは、苦手なことを得意なことの間に入れてしまうということです。イメージとして、上と下のパン、そしてハムは好きだけど、野菜が嫌いという場合。野菜を好きなものに挟んで食べることで、苦手意識を薄くするということです。

『勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

食べ物と違って、やるべきことの場合、同時にすべてをサンドイッチはできませんから、やる優先順位を作ってしまいます。「得意→苦手」でもなく、「苦手→得意」でもなく、「得意→苦手→得意」の順にします。「苦手なことを我慢して継続する」より、ずっと楽にできます。

例えば、国語が得意で算数が苦手な子の場合、「漢字の練習→算数の問題演習→国語の文章読解または読書」という流れを作ります。国語の中でも比較的取り掛かりやすい漢字から入り、その勢いの中で算数をやってしまい、そして最後に大好きな国語または読書の時間にします。このように「得意→苦手→得意」という流れを作ることにより、モチベーションが最後まで維持できるようになります。

以上のような方法以外にもまだまだたくさんあることでしょうが、これらを参考にしていただき、お子さんのますますの成長に活用していただければ幸いです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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