JR東海「夏の新制服」はクールビズだった ついに「上着なし」「ネクタイなし」に

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現場長の夏服は、引き続きネクタイ・ジャケット着用だ(写真:JR東海)

駅・在来線乗務員・指令員がネクタイなしとなる理由は「在来線は新幹線と比べて停車回数が多く、運転士も列車から外に出る回数が多いほか、車掌も動き回ることが多い」(JR東海)ため。「正装感を大事にしつつ機能性を追求した結果、開襟シャツになった」という。

「クールビズ」が広がる中、鉄道各社も夏の制服はネクタイなしが主流になっている。新幹線乗務員の白いスーツはスマートな印象だったが、現場の乗務員からすれば、いくら冷房のある車内とはいえ暑く感じることが多かったようだ。実際、同社の在来線では2015年、運転士と車掌が熱中症になるトラブルが発生している。夏の動きやすさがアップする新制服の導入は、乗務員らにとって朗報となりそうだ。

これからのJR東海のイメージを担う新制服

制服の刷新とともに、同社は会社発足30周年に伴う取り組みとして「経営理念」の改定と、社員のとるべき行動を示す「行動指針」の策定も実施する。現在の経営理念は「健全な経営による世の中への貢献」「近代的で愛され親しまれ信頼されるサービスの提供」「明るくさわやかで活力のある社風の樹立」の3つ。新たな経営理念は「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」だ。行動指針には「『安全』最優先の行動」「『信頼されるサービス』の実践」などが盛り込まれている。

制服刷新の理由については「社員の使命感をより一層高めて、今後当社が直面する課題に全力で立ち向かえるよう」にするため、と説明している。従来より軽快になった夏の新制服で、暑い時期の社員の作業性が高まれば、まさに「安全最優先」「信頼されるサービスの実践」といった「課題」に応えることにつながるということだろう。

利用者から見れば、制服をきちんと着用した乗務員や駅員の存在は安心感や信頼感の象徴。新デザインの制服は、これから先のJR東海のイメージを担うことになる。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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