廃炉作業の最難関、「デブリ」は取り出せるか ロボット投入阻む内部状況、高線量も障壁

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東芝、国際廃炉研究開発機構(IRID)が開発したサソリ型ロボット(記者撮影)

ただ、これまでの調査は、新たに開発したロボットを投入するうえでの事前調査の位置づけにとどまる。そのため東電では燃料デブリが溶け落ちた可能性について「現時点では確たることは言えない。ロボット調査による検証が必要だ」(岡村祐一・原子力・立地本部長代理)としている。2号機では今後、新たに開発されたサソリのような姿形のロボットの投入でデブリの存在を確認できるかが焦点になる。

2号機のグレーチング上のくぼみ(写真:東京電力)

もっとも、本番となるロボット投入には困難が待ち受けている。というのは当初の計画では、直径5メートルのグレーチング上を走り回り、さまざまな場所で圧力容器下部やグレーチングの真下の状態を撮影してデブリのありかを特定するはずだった。しかし、走行ルートに穴が空いていることが判明。走行計画の大幅な縮小を余儀なくされる可能性が高まっているのである。

1号機では水中にセンサを下ろしデブリを探査

2号機の格納容器内の調査を東芝と国際廃炉研究開発機構(IRID)が手掛けているのに対して、1号機は日立GEニュークリア・エナジーとIRIDが担当している。燃料デブリの大部分が圧力容器内にとどまっていると見られる2号機とは異なり、1号機内ではデブリの多くが圧力容器の底部を突き破って落下し、その一部が台座の外側にまで、地下の作業用の穴からはみ出ていると推定されている。その状況を調査するために、日立GEとIRIDは格納容器内部調査用のロボットを新たに開発。3月中にも現場に投入する計画だ。

1号機の格納容器内の調査の難しさは、デブリを水中で見つけ出さなければならないことにある。そのため、日立GEが開発したロボットは線量計とカメラを搭載したセンサユニットをグレーチング上から水中に下ろしていく。その距離は最長で約3メートルにもなる。

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