欧州GPSウォッチの雄は日本市場で勝てるか オランダ「トムトム」の創業者が戦略を明かす

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トムトムはスポーツ向けGPSウォッチでは、フランスでシェア1位ですが、欧州の他の国でもトップを狙っています。欧州以外では、シェア2位を確保したいと思っています。

もともとナビゲーションの端末やシステムを手掛けてきた会社ですが、欧州ではカーナビを通じて高い知名度があることがGPSウォッチの展開にも役立っています。携帯型ナビゲーション装置(PND)に関しては、欧州で6割のシェアを握っています。地図情報の分野でもグーグルと(独BMW、ダイムラー、アウディの3社が共同買収した)独ヒアと並んで「3強」と言われていて、米アップルの使う地図情報もトムトムが提供しています。

ただ、携帯型ナビゲーション装置に関しては、スマホの普及が影響して売れ行きが鈍っていることは事実。その分、個人向けビジネスの新領域を開拓する必要があるので、スポーツ向けGPSウォッチに力を入れています。

日本のスポーツメーカーと組む可能性は十分にある

――トムトムは以前、米ナイキと提携していました。日本のスポーツメーカーと手を組むことは検討していますか。

Corinne Vigreux/携帯型コンピュータの英サイオン社でキャリアをスタート。1991年にCEOのハロルド・ゴディンらとトムトム社の前身となる企業を創業。現在は常務取締役として、トムトム社のBtoC領域のビジネスを牽引する(撮影:風間 仁一郎)

今、いろいろと可能性を探っているところで、さまざまなプレイヤー(事業者)と話をしています。ですが、それが実るのはいつか、となると来年まで待たないとならないのかもしれません。

日本にはウェアラブル関連の企業はあまり多くなくて、反対にスポーツ用品・アパレルを作るメーカーは多いので、お互いのメリットを考えてパートナーシップを結ぶ可能性は十分にあります。

――アップルウォッチも2016年秋に発売した第2世代機から、GPSと防水機能を採用しました。ファッション性を重視するトムトムにとっても、より手ごわい競合になるのでは。

トムトムの時計は、根本からスポーツ目的で設計しています。だから、1度の充電で1週間程度はバッテリーが持ちます。「スポーツのために作られた」製品は、「スポーツにも使える」製品とは違うのです。

――トムトムの2016年第1四半期(1~3月)の決算説明で、ハロルド・ゴディンCEOはGPSウォッチについて「昨年の2倍近いペースで売れている」と述べました。2015年の出荷台数は60万台超でしたが、2016年の実績は?

2016年の通期決算の発表直前なので、この場で数字について触れることはできませんが、トムトムのGPSウォッチは昨年、非常に大きな成長を遂げました。計画を上回って着地した、ということは確実に言えます。

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