目的段階のⅢに移行した第7期の活動期では「何を持っているかではなく、持っているもので何をするかが重要であることを理解し、力のみなぎった状態となり行動に移る」、第8期の連帯期では「社会的な活動領域が意識され、協働する行動に目が向けられ連帯を意識する」と解説されています。
元気があふれて患者会を世話する人は、まさにシューハルト氏の言う活動や連帯の状態にある人でした。自分の病気を正面から直視し、病気に関する情報を得てよく理解し、病気による自分の活動の規定をわきまえ、社会とのかかわりを意識しつつ、行動を起こし、連帯しているのです。
小林麻央さんも、ブログを書いて発信するという行動の過程で、連帯の状況に達したのではないかと推察されます。第8期の連帯に至った人は、病気があっても元気です。その人として、その人らしい人生を歩みはじめ、自分の生き方に自信を持ちはじめられたからではないでしょうか。
ただし、がんや難病では危機が何度も訪れます。シューハルト氏は、そのような危機が訪れる度に、このスパイラルは繰り返されると解説しています。
ケアする側にも役に立つ
危機にあった人をケアする立場にあるものが、魂のスパイラルをよく理解し、それぞれの期で適切なケアを提供することの必要性をシューハルト氏は唱えています。
それぞれの期は、時間の長短はあっても危機に面したときに必要な過程であり、ある期は次の期への準備状態なのです。したがって、これらの過程を理解することにより、ケアする人はより適切なケアをすることが可能となるというのです。
たとえば、患者から怒りをぶつけられることがあっても、それは第3期の攻撃性の時期にあることが理解できれば、それが必ずしも自分に向けられた怒りではないことが理解しやすくなります。患者会の中でも、仲間同士のゴタゴタや意見の対立があっても、その時期を理解していれば、他の人に対して寛容となれるようです。
一方、魂のスパイラルモデルの理解は、ケアをする側だけではなく、ケアをされる側にとっても心の支えとなることがあります。自分の現在の状態を客観的に認識するための道具となり、それぞれの期も連帯へと連なるための通過点と意識化することができるからです。
実際に、患者会などで魂のスパイラルモデルを紹介すると、自分がたどった心境の変化にとても似ていると、共感し、喜ぶ人が少なからずいます。この階段を知っていれば、自分の状態を把握することも容易になり、自分より少し先を行く先輩を見ながら追っていくことが可能となります。
もっとも、危機に直面した直後にこんなモデルを知っても、それを理解し自分に当てはめる余裕などないでしょう。むしろ、危機に直面する前に、病気が発病する前に、みなさんがこのような心理過程を知っておくことが役立つのではないかと考え、シューハルト氏のモデルを紹介しました。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら