川島なお美さんが2015年9月24日に胆管がんのために亡くなって、もう1年以上が経ちます。同年12月には、ご主人でパティシエの鎧塚俊彦さんとの共著として『カーテンコール』が出版されました。その本の中には、川島さんがご自分の病気に対して正面から真剣に向かい合ってきた様子が詳細に書かれています。
「納得のいく」療養生活を続けたことには意味がある
川島さんが亡くなられた後に、マスコミは川島さんのがんの闘病生活に関して、あれこれと報じていました。がんの手術後に抗がん剤治療を受けなかったこと、発酵玄米や豆乳ヨーグルトを中心とする食事療法をしたり、ビタミンCの濃縮点滴治療・電磁波などを使った民間療法を受けていたことなどが、主な批判の内容です。
私はこれらの民間療法に効果があると思っていません。それでも川島さんが療養生活について自分で一生懸命に調べ、納得しながら続けてこられたことを高く評価します。亡くなられる直前の9月7日、シャンパンの発表会でご夫婦がそろってにこやかにテレビカメラの前に出ることができたのは、このような療養生活を送っていたからこそではないかと考えます。
悔やむべき点があるとすれば、最初にMRI検査で1.7センチの腫瘍が見つかったときに早く手術を受けていれば、ということです。その決断をしていれば、もしかしたら現在も再発することなくお元気に舞台生活を送ることができていたのではないでしょうか。
では、なぜ手術に踏み切れなかったのか。闘病記の中には、医師から100%がんであるとの言質を得られなかったから、がんであることを信じたくないから、女優として・楽器としての体に傷をつけたくないから、舞台の仕事を中止できなかったから……など、いくつもの理由が挙げられていました。
一方、同じく俳優の渡辺謙さんは、2016年のニューヨーク・ブロードウェーでのミュージカル「王様と私」が3月1日に開幕するという直前の2月上旬に人間ドックで胃がんが発見され、2月8日に内視鏡手術を受けました。ブロードウェーの開幕を延期してでも直前に手術を受けるということは、大変な決断であっただろうと想像できます。
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