オイシックスと大地が経営統合を選んだ理由 有機野菜の宅配は一見好調に見えるが・・
欧米では業態を横断した有機野菜の認証制度が浸透しており、有機野菜市場が数兆円規模に拡大している国もある。反面、日本ではそうした仕組みが充実していない。今回の経営統合の最大の狙いは、有機野菜の認知度向上や市場規模の拡大にある。
また、高島社長と藤田社長の強い信頼関係も後押しした。高島社長がオイシックスを設立したのは2000年のこと。高島社長は野菜宅配ビジネスを学ぼうと藤田社長のもとを訪ねた。それが両者の出会いだった。その後も大地を守る会が新しい物流センターを立ち上げた際には、高島社長がオイシックスの社員を引き連れて見学に行くなど交流を続けてきた。
「ニッチな世界から羽ばたきたい」
こうした中、経営統合に向けた話し合いが始まったのは、昨年10月ごろからだったようだ。高島社長は「どちらから声をかけたという感じではない。お互いにとって合ったタイミングだった」と振り返る。藤田社長は「ニッチな世界から羽ばたきたいという点で共感した。それぞれの異なる強みを生かせばシナジー効果を出せると判断した」と述べる。
同じ有機野菜の宅配を手掛ける両社だが、それぞれの戦略は大きく異なる。オイシックスは農家と直接取引し、自社サイトを通じて野菜を販売している。主要顧客は20~30代の女性。最近では「キットオイシックス」という1回分の献立の主菜と副菜が簡単に作れる商品が業績の牽引役に育っている。契約農家は1000軒、会員数は12万人にのぼる。
他方、大地は1975年に発足した非政府組織(NGO)「大地を守る市民の会」が前身。カタログ販売が中心となっており、こちらの主要顧客は50~60代の女性が占める。1回当たりの購入価格は平均して7600円と、オイシックスの5000円台後半より高い。生産者は2500人、利用者は31万人となっている。
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