ゼネコンにも「鉄道魂」、三陸の復興に燃える 単身赴任で働く作業員の"熱い現場"

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JR常磐線山下駅ホーム上で試運転車両を待つ作業員(記者撮影)

東日本大震災から5年10カ月。被災直後は完全に寸断されていた三陸沿岸の鉄路だったが、年を経るごとに復旧が進む。運休区間で残るのは、JR山田線・宮古―釜石間(55.4キロ)とJR常磐線・小高―竜田間(36.6キロ)のみ。JR大船渡線・気仙沼ー盛間(43.7キロ)とJR気仙沼線・柳津ー気仙沼間(55.3キロ)はバス高速輸送システム(BRT)による復旧が決まり、専用道の建設工事が各所で進んでいる。

復旧工事をJR東日本とともに担っているのが、中堅ゼネコンの鉄建建設だ。2016年3月期の売上高1712億円は業界で中位程度だが、鉄道工事にはめっぽう強い。売上高の約半分を鉄道関連が占める。JR東日本が筆頭株主で、JR各社とも取引がある。

当初は鉄道での復旧を検討

昨年12月10日に運行を再開したJR常磐線・駒ケ嶺-浜吉田間(15.8キロ)では、山下駅を中心とする4.8キロの復旧工事を行なった。街作り計画に合わせて線路を内陸部に移す工事を担当。新駅舎やトンネルも建設した。鉄建はBRT専用道の建設や山田線の復旧工事にも参加している。また、鉄道だけでなく復興道路整備や学校の高台移転などの工事も行っている。そこで、昨年11月15~16日の2日間、作業の様子を見て歩いてみた。

気仙沼線・津谷川橋梁(宮城県気仙沼市本吉町)の建設現場では、強い北風が吹き荒ぶ中、屈強な男たちが黙々と作業をしていた。津谷川堤防のかさ上げする際、被災した橋梁が邪魔になるためこれを撤去しているのだ。その後は新たに鋼トラス橋が新設される。完成後はBRTの専用道として使用される。

BRTが運行しているのは、JR気仙沼線・柳津―気仙沼間とJR大船渡線・気仙沼―盛間。当初は鉄路での復旧も検討されたが、鉄道よりも運行本数を増やすことできる、津波の到来時に道路を走って高台に避難することができるといった理由から、結局BRTによる復旧が決まった。鉄道による復旧の場合は多額の費用がかかることや地域住民の交通手段の確保という点では、道路を活用して早期に運行開始したほうが得策といった点も加味された。

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