西武「座れる通勤列車」の愛称は「S-TRAIN」 コンセント付き新型車両で埼玉-横浜直結

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通勤客向けの平日の列車に対し、土休日の列車は秩父や横浜への観光客や買い物客などがターゲットだ。

西武秩父-元町・中華街間の所要時間は、朝方に走る元町・中華街発が2時間14分、夕方の西武秩父発が2時間33分。途中の停車駅は西武線内が飯能・入間市・所沢・石神井公園、副都心線内が池袋・新宿三丁目、東横線とみなとみらい線内が渋谷・自由が丘・横浜・みなとみらいとなる。

特に注目されるのは、初の座席指定列車となる東急東横線内での利用だ。東急電鉄によると、東横線内の停車駅である渋谷・自由が丘・横浜の3駅にはホーム上に指定席券売機を設置するほか、東横線各駅の自動券売機でも指定券が買えるようになるという。西武線-東横線の直通利用者だけでなく、東横線内の利用者にも注目の列車となるだろう。

座席指定料金は西武秩父-元町・中華街間で大人1060円、もっとも安い区間では大人300円。副都心線内のみ、みなとみらい線内のみの利用はできないほか、池袋駅は行先を問わず降車のみの扱いとなる。

「座れる通勤列車」激戦時代に

指定券は、西武では3月18日から発売予定。同社によると、S-TRAINに使用される40000系にはクロスシートを中心に一部ロングシートの部分があるが、窓口で指定券を購入する場合はどちらかを選ぶことができるという。

近年、鉄道各社では「座れる通勤列車」の導入が相次いでいる。関東地方では2015年12月に京急電鉄がこれまでの夜間の下り列車に加え、朝方の上り列車として「モーニング・ウィング号」の運転を始めたほか、2016年3月には東武東上線の座席定員制列車「TJライナー」も朝方の上り列車の運行を開始。座れる通勤列車では老舗といえる小田急電鉄も昨春、東京メトロ千代田線直通の特急ロマンスカーを増発している。

さらに2018年には、京王電鉄も同社初となる座席指定制列車の運行を始める予定だ。JR東日本も2020年をめどに中央線快速へのグリーン車導入を計画している。今後数年でさまざまな変化が予想される関東の通勤鉄道。これまで座席指定列車のなかった路線にも直通し、首都圏を貫いて走る「S-TRAIN」は、座れる通勤電車激戦時代の到来を告げる列車となりそうだ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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