金正恩が年頭に示した「ソフト路線」の読み方

経済強国はしっかりアピール、核の成果も

金正恩氏(中央)は経済強国建設を新年の辞で強調した(写真は昨年12月17日に金正日総書記死去5年の中央追悼大会に出席した金氏。写真:共同)

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長が2017年1月1日、新年の辞を発表した。テレビの前で自ら新年の辞を発表するのは、自身が政権を担った2012年を除き4回目となる。

今年は「自力自彊の偉大なる動力で社会主義の勝利的前進を早めよう」というスローガンを打ち出し、2016年5月の朝鮮労働党第7回大会で発表された「経済発展5カ年戦略」の遂行がカギとなる重要な年、として位置づけたことが目を引いた。今年が初年度となる5カ年戦略の内容をしっかりと進め、経済建設に国民は総力を傾けようという内容となった。

経済面の言及増やし、内容は簡潔に

平壌の靴下工場をはじめ、国民の生活に直結する軽工業部門(写真:記者撮影)

そのためには、「自力自彊の威力は科学技術の威力」と述べ、科学技術を重視しそれを活かすことで5カ年戦略の目標を達成していく、と言及している。また、経済活動で使われる原料や燃料、設備などの国産化を進め、工場や企業の近代化と生産正常化で生じる問題を解決することに全力を尽くすべき、と注文をつけた。

ただ、経済分野での言及は金正恩政権になって以降、繰り返し述べられた内容の反復に過ぎない。全体的には例年と比べ、内容は簡潔なものだった。北朝鮮が専門でソウル大学の鄭昌鉉(チョン・チャンヒョン)教授は、その理由として、2016年5月に36年ぶりに開催された朝鮮労働党第7回大会ですでに長期的なビジョンを提示していることで、「新年の辞では今年集中すべきこと、強調すべきことを内容にした」ためと分析する。鄭教授は「米国や韓国で新政権が登場する年となり、対外情勢が不透明なことを見据え、あえて簡潔な内容にしたのではないか」とも語った。

また、経済分野に関する言及を先に持ってきたことについては、2016年には2度の核実験や長距離ミサイルの発射試験など軍事面で一定の成果を挙げたからではないかと、前出の鄭教授は指摘する。それは、金正恩政権発足後の2013年、「経済建設と核武力建設の併進路線」において、2016年には核武力建設で前出のような成果を出したので、「今年は特に経済を強調するという意味」(鄭教授)と思われる。

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