「自主避難」3.2万人、住宅支援打ち切りに悲鳴

生活問題は逆に深刻化、終わらない原発被害

2016年7月に行われた「避難の協同センター」設立の記者会見(写真:記者撮影)

原発事故によって福島県内の避難指示区域以外から逃れてきた「自主避難者」への住宅の無償提供が、今年3月末で打ち切られる。4月以降、現在の住宅から立ち退きを求められたり、新たに多額の家賃の発生に見舞われるケースが続出すると見られ、当事者から悲鳴が上がっている。

東京・江東区東雲にある国家公務員宿舎で避難生活を送る女性(57歳)は、言いしれぬ不安にさいなまれている。原発事故直後に福島県南相馬市原町区の自宅から逃れてきたが、4月以降、避難先の国家公務員宿舎に住み続けることが困難になっている。

福島県では原発事故後、災害救助法に基づき、民間のアパートや国家公務員宿舎、雇用促進住宅などを応急仮設住宅(みなし仮設住宅)として自主避難者にも無償で提供してきた。自主避難者にとって、仮設住宅の無償提供は事実上唯一の支援策。それが今般、「県内での除染の進捗や食品の安全性の確保など、生活環境が整いつつある」(福島県生活拠点課)として、無償での住宅支援を終了させる。

1万2000世帯が打ち切り対象に

福島県によれば、県内外の自主避難者は約1万2000世帯、約3万2000人に上る。県では1月以降、一定の所得以下の世帯に対して、みなし仮設住宅から転居して新たに賃貸住宅で暮らす際の補助金を2019年3月末までの2年余りに限って支給し始めるが、その対象は約2000世帯にとどまる。

2016年12月下旬、前出の女性宅に福島県から一通の手紙が届いた。そこには「子どもの就学や通院などやむをえない事情がある場合には公務員宿舎への継続入居も可能」である旨が記されていた。だが、女性は今の住宅に住み続けることを半ばあきらめかけている。

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