自民・公明「連立」に次々と亀裂が生じている 自民の「傲慢」と公明の「選挙至上主義」が激突

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中央政界でも自民党と公明党の間の不協和音は目立っている。先の臨時国会で焦点の一つになったカジノ法の採決で、公明党は党としての方針を決めず自主投票とした。その結果、山口那津男代表や井上義久幹事長ら執行部は全員が反対票を投じた。

会期末が迫った12月14日、自民党はこの臨時国会で2度目の会期延長を衆院議長に申し入れた。通常、会期延長の申し入れには連立相手の公明党も同席するが、このとき公明党はカジノ法案成立のための延長に納得できず初めて同席しなかった。「創価学会員、特に女性会員の間でカジノ法案の評判は最悪で、このまま公明党が自民党についていくと、次の選挙に悪影響が出る」(公明党衆院議員)というのが公明党にしては珍しい明確な意思表示の背景のようだ。

選挙絡みは譲らない公明党vs.強引な安倍政権

公明党の「造反」は過去にも例がある。2015年7月には自民、維新などが提案した参院の定数是正法案の採決で反対した。1999年に連立政権が誕生して以来、公明党が法案の採決で自民党に反対したのはこのときが初めてのことだった。公明党が反対したのは、増員区に公明党が強く要求していた選挙区が含まれていなかったためといわれている。

つまり公明党は選挙が絡むと一歩も譲らない強い姿勢を示すのだ。それは法案の賛否だけではない。小泉内閣時代には教育基本法改正や防衛庁の防衛省への昇格問題などが選挙のマイナス材料と判断して数年間、結論を先送りさせた。そして2005年の「郵政解散総選挙」で自公両党が圧勝すると、翌年、採決に応じている。このころの自民党は政権維持に自信がなく公明党の選挙協力を不可欠とみていたため、公明党の要求に応じていた。そのため両党間で政権運営や政策で決定的な対立が表面化することはなかった。

ところが第2次安倍内閣時代に入ると、民主党を含め野党勢力が四分五裂し、「反自民」だけでなく「維新の党」などのように「親自民」の野党が登場したことで、自民党は政権運営に自信を持ち始めた。その結果、国会審議で慎重な審議を求める公明党の要求を無視した強引なやり方が目立つようになり、自公関係に微妙な変化をもたらしているのである。当然、東京都議会同様、公明党には不満が募っている。

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