日比谷線新車、デビュー前「特別運転」の狙い 東京メトロが25日まで1日1往復だけ実施

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13000系の最大の特徴は、従来は1両あたり約18メートルだった車両の長さが約20メートルに伸びたことだ。これに伴い、編成両数は8両から7両に変更。1両あたりのドアの数も3ドアから4ドアへと変わった。

地下を走る13000系。近未来的な外観だ(撮影:尾形文繁)

この狙いはホームドアの整備だ。現在同線には1両あたり3ドアと5ドアの車両が混在しており、このままではホームドアの設置は難しい。また、乗り入れ先の東武スカイツリーラインを走る通勤電車は、日比谷線乗り入れ用車両を除いてすべて20メートル・4ドア車となっている。そこで、新型車両は20メートル・4ドアの車両とし、さらに東武も同サイズの車両を導入することで、日比谷線を走るドア位置を統一。全車両が置き換わる2020年度からホームドアの整備を進めていく予定だ。

ちょっと未来を先取りできる?

車両の長さが伸びたというと、ホームやトンネルなどに接触する心配はないのかと気になるところだが、これらは大規模な工事を行わなくても問題なく走れることが確認済み。さらに、東京メトロによると20メートル車両の運行に支障となる標識類の移設や撤去も2014年度までに全て完了しているという。新型車両の本格デビューに向けた準備は、ほぼ整っているのだ。しばらくの間は3ドア・4ドア・5ドアの車両が混在することになるが、その点に関する案内などは今後さらに検討していくという。

「たくさんのお客様にご乗車いただいた初の運転で、喜んでいる方々の姿を見て胸をなで下ろした。新車にはさりげない心づかいをいろいろ盛り込んだつもり。ぜひ体験してほしい」と松本設計課長。13000系は来年春に本格デビューし、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年度までに既存の車両を置き換える予定だ。

特別運行は、24日・25日も南千住-霞ヶ関間でそれぞれ1往復(南千住9時16分発・霞ヶ関9時53分発)実施する。クリスマスのショッピングついでに近未来の日比谷線を体験してみるのも面白いのではないだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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