テレビの音楽番組はどこへ向かえばよいのか 音楽番組の"今"を探る
漁場が変われば釣れなくなるのは当たり前
CDが売れない、と言われて久しいが、CDが売れないのではなく、CDを売る努力が足りないのだ、と私は思っている。
なぜなら、実は2002年以降、音楽業界は迷走の時代に入ってしまった。メガヒットの時代が去り、新たに音楽配信の時代を迎えようとするなかで、進むべき道が見えなくなってしまったのだ。
もちろん、毎年ヒット曲は生まれ続けた。ピークには年間で23作品(95年、96年)、アルバムが30作品(99年)のミリオン・セラーが生まれた。だが、シングルは2001年に4作品に減り、2002年には浜崎あゆみの「H」のわずか1作、2003年もSMAPの「世界に一つだけの花」だけ、そして2004年はついにミリオン・セラーがゼロになってしまった。
なぜミリオン・セラーが減ってしまったのか? 音楽配信、違法コピーなどさまざまな要因は考えられるが、要はCDの購買層が変わりつつあるということだ。
魅力的な才能は次々と出てきている。しかし、音楽市場そのものの縮小傾向は止まらない。6000億円あった音楽業界の総売上額も3000億円にまで減少してしまい、まさに青息吐息といった惨状だ。業界の誰と会っても「CDが売れない」という話でもちきり。いつも最後には「何で売れないんだろう」ということを論じる羽目になる。そんなとき、私はあえて「売れなくて当然ですよ」と言う。
当然ながら相手は怪訝な顔をする。そこで私はすかさず説明するのだ。「漁場が変わってしまったんですよ」と。
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