トヨタがWRC再参戦に込める本質的な狙い

2017シーズンは「ヤリスWRC」で走る

マシンはすでに富士スピードウェイで11月に行なわれたトヨタガズーレシングフェスティバルのオープニングで擬装されたマシンがお披露目済みだが、今回はトヨタガズーレーシングの統一カラーリング(白/黒/赤)に、マイクロソフトやDMG MORI、パナソニック、モービル1と言ったスポンサーカラーに身をまとった正真正銘のモデルである。

トヨタは、なぜWRCに復帰するのだろうか。トヨタとラリーの関係は古く、1957年に豪州1周ラリーに「トヨペット・クラウン」で参戦したのがスタート。それがモータースポーツ活動の始まりでもあった。チーム副代表の嵯峨宏英氏は「これまでのWRC参戦は技術屋主導で動いていましたが、今回は会社全体で取り組んでいるプロジェクト」と明かす。WRCファンにトヨタというブランドを訴求するだけが狙いではない。

単なる興味本位のレースではなく

それを読み解くカギはトヨタ自動車創業者・豊田喜一郎氏の絶筆「オートレースと国際自動車工業」にある。

「これから乗用車製造を物にせねばならない日本の自動車製造事業にとって、耐久性や性能試験のため、オートレースにおいて、その自動車の性能のありったけを発揮してみて、その優劣を争うことに改良進歩が行われ、モーターファンの興味を沸かすのである……単なる興味本位のレースではなく、日本の自動車製造業の発達に、必要欠くべからずものである」。

かつてホンダの創設者・本田宗一郎も「レースは走る実験室」という言葉を残している。今や日本の自動車産業は世界トップレベル、技術やノウハウはたくさん構築され、下手すればデータだけでも車両をまるまる1台開発することも可能だ。一方、現実の世界ではデータで予想しない出来事もたくさん起きる。レースの場はまさに極限。そこを経験することで、人が鍛えられ、クルマが鍛えられる。

あらゆる道を走る競技であるラリーは、人とクルマを鍛え上げるためには最適な舞台

トヨタはトヨタガズーレーシングを通じて、ニュルブルクリンク24時間耐久レース(2007年~)、WEC(FIA世界耐久選手権・2012年~)というレースに参戦している。それに加えてWRCのような「あらゆる道を走る競技であるラリーは、人とクルマを鍛え上げるためには最適な舞台。競い合いの中で予測しえない環境にさらされた時にこそ、本当に鍛えられ成長します」。トヨタガズーレーシングのチーム総代表でもあるトヨタの豊田章男社長はこうコメントしている。

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