私たちの給料は、なぜこの額に決まったのか 納得いかないので東大名誉教授に聞いてみた
給料を「経済学」的に考えてみると……?
「給料を上げたい」。
これはすべてのサラリーマンの、共通の願いでしょう。でも、どうしたら給料が増えるのか、そもそも給料がどのように決まっているのかを知っている人は、少ないのではないでしょうか。実は「ミクロ経済学」を知っていると、そのメカニズムがわかるのです。
ミクロ経済学は簡単にいうと、世の中のすべての経済活動について、「価格はどのような仕組みで決まっていくのか」を解明する学問です。そして価格とは、需要と供給のバランスによって決まります。
これを表現したグラフが、経済学でよく見る「需要供給曲線」です。
実は私たちの給料(賃金)は、企業の生産要素のひとつである「労働の価格」なので、モノの値段と同様、この需要曲線の応用で説明ができます。
すべての企業の目的は、利潤の追求です。そのために企業は「生産要素」と呼ばれる「労働(例:私たちの日々の仕事)」「土地(例:家賃)」「資本(例:設備)」を投入して、モノやサービスを作り、利益をあげています。経済学的に見ると、私たちサラリーマンの日々の仕事は、企業が利益を得るための、ひとつの要素なのです。
賃金とは、私たちが企業に対して「労働」という生産要素を供給した対価です。当然、企業は、支払った賃金(=労働に投入した費用)から最大のメリットを得たいと考えます。そこで、企業は、労働を追加することで増加する費用よりも、追加した労働によって得られる金額(生産価値)のほうが高い限り、労働に費用を投じ続けます。単純に言えば、時給1000円で雇った人が1時間で2000円分の商品を作ってくれるなら、企業にとってその人を雇うメリットはあります。そして、「この調子なら、もっと人を雇って売り上げを伸ばそう!」と考えるわけです。