松下幸之助は人口急減への対策を考えていた 経営の神様が考えた200年計画とは?

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むろん、そういう事態にならんように、国も国民も国際社会のなかで努力せんといかんけど、わずかでも危機の可能性があるとすれば、それの対応を考えておかんといかんわね。

それに人口をもっと増やさんといかんね。これは以前から言うておることやけど、このままでは人口が減って、国としての力がなくなってくる。経済の拡大にある程度見合った人口の増加がないといかん。人口が減るという、いまの傾向は、経済的にも精神的にもよくないな。人口を増やすことをしていく。そのためにも住環境を整えるということを考えんとね。

一軒300坪くらいの土地に住めるようにする

そこで、それではこういう問題を、どう解決したらいいのかということや。法律で規制してもすぐに骨抜きになる、とすれば、あとは、人が住みたくなるような環境の土地を、新たに増やすことや。人口が減るけど、住みやすい環境の、そう、福祉とか医療体制が充実した場所というか土地を増やすことが大事やな。

どうやって、新しく、そういう土地を増やせるかって?わしには名案があるんや。

それはな、日本の有効可住面積は30%やろ。ということは残りの70%は山岳森林地帯や。そこで国土の70%を占める山岳森林地帯のうち、20%を開発整備する。そしてこれを人が住みたくなるような、まあ、いわば、広い緑の土地を国民に低額で提供できるようにするんや。

残りの50%は、現在のままにしておく。そうすると、いまの国土の50%を、有効可住国土として活用できるようになるわけやな。そして、その開発整備したところを、住宅とか畑とか向上に使うことにする。まるで自然公園のような土地を、いままで30坪くらいの家が集まっていた、あるいは、マンションに一塊(ひとかたまり)になっているような状態ではなく、一軒が300坪くらいの土地に住む。そのような、今は考えられんような、ゆとりのある住宅地をつくる。

うん、当然、治山治水は十分に考えんといかんね。新しく川をつくるとか、湖をつくるとかということもせんといかんやろ。まあ、山を削るということになるからね、環境の変化とか自然の変化というようなことも、事前に十二分に調査はせんといかんけどな。

そしてそれだけではないんや。その山を削った土を海に持って行って、埋め立てる。

ここでもやな、山のときと同じように十分な配慮がいるわね。自然の島のようにつくると。見た目にも美しい島をつくると。変化に富んだ海岸線を新たに創造すると。またそれによって生ずる漁業の問題も、むしろ魚の増殖にプラスになるようにするということも考えんといかん。

そういうようにして、山をならし、海を活用、埋め立てて、新しく使える土地をつくるんや。

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