日テレとIIJが「動画配信」で提携したワケ 普及期の動画サービス、人気を高めるには?

拡大
縮小
民放で視聴率トップを走る日テレがIIJと新たな戦略に打って出た(撮影:吉野純治)

日本テレビ放送網の「hulu」やテレビ朝日の「Abema TV」、フジテレビジョンの「FOD」。近年、民放各局が独自の動画配信サービスを本格化する中、テレビ業界で「オールジャパン」を目指す取り組みが始動した。

12月1日、日本テレビとインターネットイニシアティブ(IIJ)は動画配信に特化した配信プラットフォームを提供する新会社「JOCDN」を設立し、2017年4月をメドにサービスを提供していく考えだ。

今回、協力して取り組むのは社名にも含まれている「CDN」(コンテンツデリバリー(配信)ネットワーク)。両社は新たな動画配信サービスを開始するわけではなく、動画配信会社向けに、配信システムを提供していくということだ。

コンテンツを配信するとアクセスが集中し、大量のトラフィックが発生する。CDNはそうした場合でも高品質で安定した配信が可能できるように最適化されたネットワークのことだ。「今回は動画に特化したものを開発していく」(IIJ配信事業部の岡淳一氏)。

スマホ、タブレット時代に合ったシステムを

huluは会員増に向けてオリジナルコンテンツを積極的に増やし、広告宣伝費もかけている。9月末の有料会員は145万人。2017年3月末には166万人の達成が目標だ

動画配信サービスは最近、テレビの大画面のみならず、スマートフォンやパソコン、タブレットでも視聴されるようになっており、そうした環境に合わせた配信システムを構築する。

IIJは既存の技術をベースにシステムを構築していく考えだ。「4K動画などが流通する時代になっても、アクセス負荷に耐えられる配信設備を作っていく」(JOCDN取締役の福田一則氏)という。

新会社は両社が50%ずつ出資し、それぞれが持分法適用会社としている。社長には日本テレビの社長室出向局次長である篠崎俊一氏が就任。会長にはIIJの鈴木幸一会長が就いた。現在、IIJ、日本テレビとも3名ずつエンジニアなどの社員が出向している。

次ページ鈴木会長のこだわり
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT