森田:去年、シリアなどから急増した難民を受け入れたのには思惑があると思います。ドイツも人口が減っていて、生産維持のためには労働者が必要だということ。日本にも移民をと言いますが、それほど簡単ではない。
次のグラフ「出生数と死亡数の推移」を見てください。2010年の人口ピークを過ぎてから1年で28万人減っています。産まれた赤ちゃんが100万人で、亡くなったのが130万人弱。こらから毎年30万人減っていく。2039年をピークに毎年100万人以上減ります。毎年100万人以上を海外から受け入れるとはどういうことなのか。でも、そこまでしないと人口が維持できないのです。
木本:それだけの人口減少を補おうと、ドンと受け入れたらバラエティの世界も変わるかもしれない。いま、バラエティ番組では海外から来たタレントが大人気です。ひな壇を目指してますます熾烈な戦いが繰り広げられるような気がします。僕も危なくなってしまう。
簡単には移民を増やせない
森田:それもありますし、その人たちはどこから来るんですか、という問題もある。日本に貢献してくれる学歴の高い人に来てくださいと言っていますが、それは世界中が求める人材なわけです。どなたでもよくて、低賃金で労働してもらえる方を受け入れたとします。仮に彼らを日本人にして、国民として同等に扱うならば将来の社会保障にもかかわってきます。
木本:いろんな仕事をしても選挙権はなかったりして、制度を整備するのも必要ですし、われわれも変わっていかないといけませんね。
森田:人権や憲法の問題からも考えなければいけません。労働力とだけとらえて、非人道的な政策をとる国や、要らなくなったら帰ってもらう制度の国もある。今のままでは日本で移民を受け入れるのは難しい。暗い話ですが、これもあれもというハードルが高いです。
木本:地球全体で人口は減っているんですよね。
森田:地球全体で見れば人口ボーナスが終わって、全世界で人口が減るところまでいっていませんが、インドでも少子高齢化の傾向が出てきています。その一方でアフリカ諸国の人口は増えている。かつては先進国の人口比率が高かったのですが、南アジア、アフリカがかなりの人口を占めるようになる。人数は力ですから、国際政治の情勢も変わっていくことになるでしょう。
木本:なんとも暗い気持ちになりますね。後編の日本人は「人口急減の恐怖」を直視するべきだでは、少子高齢化社会のトップランナーである日本に何が起こるのかをお訊ねします。よろしくお願いします。
(構成:高杉公秀 撮影:梅谷秀司)
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