分断社会を終わらせるための政策のあり方
木本:井手さんは、分断社会を終わらせるための政策のあり方として、「必要の政治」という考え方を提案されています。これをわかりやすく説明していただけますか。
井手:教育や医療、介護など「人間に共通して必要なサービス」を所得の多い少ないにかかわらず提供するんです。税もみんなで負担する。痛みも喜びも分かち合うことで、人間と人間の対立軸をなくしていくことです。僕は新しいことを言っているわけではない。たとえば、農村では今でもみんなで助け合ってやっていますよね。
木本:はい。お祭りをやるのも、みんなで助け合っていますね。
井手:消防団がありますし、警察の代わりの自警団もあります。金持ちだけが負担するのではなく、みんなが負担するのです。その分、受益を受けるのだって、みんなです。
この考え方が重要です。大学にみんなが行けるようにする、保育園にもみんなが行けるようにする、そして介護をみんなが受けられるようにする。つまり家族のように助け合って日本人が生きられるようにする。この発想が重要になると思うのです。
みんな自分の家族のメンバーに学校に行って欲しいし、仕事を見つけて幸せになって欲しいと思いますよね。家族がたとえ障害を有したとしても安心していろいろなサービスを受けられるようにしてあげたいじゃないですか。みんなが受益者になっていくような社会に変えていきたい。
これはできると思うんです。みんなに配る仕組みだから、他のみんなも幸せになっているけれど、同時に自分も幸せになれるようにする。みんなが幸せになると自分が得をする、そういう仕組みに財政を作り変えるのが大事なのです。
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