(このひとに5つの質問)石塚邦雄 三越社長

(このひとに5つの質問)石塚邦雄 三越社長

伊勢丹との経営統合を控える三越。が、足元は売り上げ不振で今期業績予想を大幅に下方修正、今期からの6カ年計画も見直した。石塚社長に見通しや統合準備の進捗を聞いた。(『週刊東洋経済』10月27日号より)

伊勢丹との統合準備で社員は刺激を受けている

1 期初に「数値を達成することが経営者としての責任」と宣言していたにもかかわらず、減益見通しに修正しました。

 計画自体は、営業利益率もたかだか2%にすぎず、決して高い数字ではなかった。それでも達成できなかったというのは、やはり施策が不十分だったということ。施策を立てても、今の三越にはその実行力もないし、スピードも遅いということだ。

2 その点が、伊勢丹との経営統合によって改善されると期待できますか。

 もちろん。これが今回の統合を決めた理由の一つでもある。今、統合準備委員会やテーマ別の分科会で、伊勢丹の社員と協働を始めているが、すでに三越社員の意識も変わりつつある。これまでの三越のダメな部分、たとえば「上をすぐ気にする」というようなことが改善されてきた。準備委員会や分科会のメンバーには「会社に持ち帰らず、その場で自分で決めてこい」と言って送り出している。逆に伊勢丹の社員は、会議の場でもポンポンと玉を投げてくるので、三越の社員は刺激を受けているようだ。

3 経営統合が決まった後、社長自身が、社員への説明に回ったとのことですが、反応はどうでしたか。

 社員にもさまざまな誤解があったようだ。1対0・34という統合比率から、三越が伊勢丹に吸収されると懸念する社員もいた。だが、それはあくまでも株価を参考に決めただけなのだから、まったくいじける必要はないと説得した。私たちが常に考えるべきなのは、どうすれば顧客に喜んでいただけるかなのだ、と。顧客からも「三越が伊勢丹のようになったら困る」との声が多く寄せられたが、ありえない。銀行のように店名まで一緒になるわけではない。

4 統合6年目の2013年度に三越個社で300億円の営業利益目標を掲げています。

 今期業績を前提にざっくりと作った数字だが、具体的なステップをどうするかまではまだ織り込まれていない。12年度に経常利益を450億円に引き上げるという6カ年計画の目標値に比べると低い。当然、クリアすべき数字だと思っている。企業としての役目は、一歩ずつ着実に増益を達成することだろうと、伊勢丹ともよく話している。

5 11月に臨時株主総会があります。統合比率が三越側に不利との声もあり、約4割の個人株主の反応が気になるところですが。

 株主総会については、特に心配はしていない。業績を上げることによって、配当を増やすと宣言しているのだから、保有を続ける株主なら賛同してくれるはずだ。株主優待については、今後、検討しなければならない。

(書き手:堀越千代)

いしづか・くにお
1949年生まれ。72年東京大学法学部卒業後、三越入社。本店副店長、業務部長、経営企画部長などを経て、2005年5月に社長就任。

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