人気上昇!知られざる「成人矯正」の裏側 清潔な口元は万国共通のビジネスツールだ

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その結果、歯の着色が起こりやすくなったり、歯周病にかかりやすくなってしまうことがある。その場合は大人になってからの歯列矯正、⑤成人矯正治療という選択肢がある。

成人矯正増加の背景に「活躍する中高年」の増加 

成人の歯列矯正の草分け的な存在、加治矯正歯科の加治初彦院長は、「21世紀に入ってから、成人矯正をやる人が増えている」と話す。「一般的に、歯の寿命は50~60年と言われています。ただ、現代社会ではその年齢を過ぎても、ビジネスシーンやコミュニティ内で活躍している中高年は増えている。健康寿命が延びても、若々しい口元を保ち続けるために、成人矯正のニーズが高まっているのです」。とりわけ歯の審美的な側面を気にする女性のビジネスパーソンは、成人矯正に積極的だという。

加齢によって歯列が乱れてしまうのはなぜなのか。原因は、上下の歯に圧がかかることで、歯が前方へ放射状に開いていく“フレアリング”という症状によるものや、歯周病によるものがある。さらには、インプラントの失敗・技術不足の炎症が原因になることもある。特に、下顎の歯は上顎に比べて圧がかかりやすいため、歯列が乱れやすい。

ただ、下顎の前歯は部分矯正も可能だ。「部分的に矯正を施すだけでも、口腔環境は改善できます。それだけで歯周病にかかる確率は下がるでしょう」(加治院長)。

加治院長によれば、こうした原因で乱れた歯列であるため、一言に矯正といっても、若いうちに行うものとは異なり、できれば成人治療に慣れている矯正医に頼ったほうがいいという。

気になるのは、矯正にかかるコスト。目安は、部分矯正が50万円前後、全体的な矯正だと100万円前後。治療期間は、半年~2年半が平均的だ。加齢に伴う口元の変化を考慮すると、歯列が乱れ始めるアラフォー世代は、早めに検診を受けておくことをお勧めしたい。

ここまで口元の清潔感を維持するための方法を紹介してきた。もう1度おさらいすると、

①唇の保湿
 ②家庭での歯磨き
 ③歯科医での集中クリーニング
 ④ホワイトニング
 ⑤成人矯正治療

というステップとなる。

筆者はもともと歯並びが悪かったこともあり、ステップ①~⑤まですべてを実践したが、ビジネスシーンで嫌われない口元を演出するうえでは、①~③でも十分だ。④や⑤については職種や職業、本人の身だしなみ意識によって実践すればいいだろう。

きれいな口元は、自身のステータスを示す、重要なビジネスツールだ。世界中どこに行っても、誰と会っても、清潔感のある口元は高感度が高い。手をかけただけの効果は、十分に得られるはずだ。

加藤 智一 美容ジャーナリスト

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1973年東京都生まれ。複数女性誌の編集部で美容・ファッションを担当し、アシェット婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)に入社。女性誌の美容担当を経て2005年に独立。女性誌・男性誌・Webなどさまざまな媒体で編集・執筆を行うほか、講演はPRアドバイスも。最新のスキンケア情報、メイクアップのトレンドから美容医療まで幅広くカバー。著書に『お洒落以前の身だしなみの常識』がある。

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