「フリーゲージ」開業が間に合わない根本原因 そもそも開発スケジュールに無理はないか

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フリーゲージトレインの試作車。耐久走行試験の再開は先送りとなった

九州新幹線長崎ルートへの導入に向けて開発が進められているものの、不具合の発生により約2年間試験走行が中断している「フリーゲージトレイン(FGT)」。国土交通省は11月18日、予定通りであれば2016年度後半を目指していた試験走行の再開を延期することを明らかにした。

延期の理由は、専門家委員会での議論において、現時点で60万キロメートル相当を走行できる耐久性があるとの判断は難しいとされたためだ。さらに、不具合の対策として車軸の交換を行うため、コストについても一般の新幹線と比べて2.5~3倍に及ぶことも判明した。ゴールドと赤の塗装に身を包んだ現在の試験車が登場した際には、営業運転の日も近いかと思われたFGTは迷走している。

60万キロ耐久走行試験、3万キロで不具合

FGTは車輪の幅を変換することによって、線路幅の異なる新幹線と在来線を直通可能な車両。試験は1999年から始まり、現在の試験車は2014年春に、従来よりも実用化に近い車両として登場した3代目だ。当初の計画では、車輪の幅を変えながら新幹線と在来線を直通する「3モード耐久走行試験」を60万キロメートル実施し、耐久性などを確認する予定だった。60万キロとは、一般の新幹線車両の検査周期に合わせた距離だ。

耐久走行試験は同年10月に始まったが、約3.3万キロメートルを走行した11月末、車軸や軸受けに磨耗や欠損などの不具合が発生していることが判明。試験は中断された。

次ページ改良後も耐久性に残る課題
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