なぜ「安倍トラ会談」に娘が同席したのか 高まる愛娘イヴァンカ氏の存在感

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この一家に近い人物は次のようにも述べた。「トランプ氏は常々、イヴァンカや他の子どもたちに、彼のミーティングに同席するよう勧めてきた。当該の会談は非常に私的なものだった。しかし、彼らは当然ながら目の前の新たな状況に順応しなければならないし、そうするだろう」。

今週、イヴァンカ氏の宝飾品会社が、報道関係者に写真とともにメールで通知を送った。その写真は、テレビ番組「60ミニッツ」でトランプ氏一家にインタビューが行われた際のもので、イヴァンカ氏が1万800ドルのゴールドのバングル型ブレスレットを着けて写っていた。同社は、テレビ出演を販売拡大に活用しようとしたのだ。

イヴァンカ・トランプ・ファインジュエリーの販売担当ヴァイスプレジデントは、メールに次のように記していた。「添付したお知らせには、この週末に放送された『60ミニッツ』で、メトロポリス・コレクションのお気に入りのバングルを着けたイヴァンカが写っています」。

同社のアビゲイル・クレム社長は、このブレスレットの宣伝について謝罪し、これは同社の「マーケティング担当者が悪意なく行った」ものだと述べ、さらに「私たちは新しい方針と進め方について、前向きに話し合っている」とした。

首脳会談になぜ娘が出席したのか

イヴァンカ氏が安倍首相とトランプ氏の会談に出席したことは、現職・前職の国務省官僚をも困惑させている。同省で、7月まで広報担当の国務副次官補として勤務していたモイラ・ウェランもその一人だ。

ウェランによると、このような首脳どうしの対話に同席する人物は、最低でも人物調査を受けなければならないし、日本問題の専門家でなければならないという。「二人の首脳の会談が私的なものであることはない。ちょっとした言葉や同意を示す頷き、反論されなかった主張なども、さまざまに解釈できる」。

米国の監視団体「政府監視プロジェクト(Project on Government Oversight)」のダニエル・ブライアン氏は、イヴァンカ氏が国際的な事業を行う企業の幹部であることを考えると、彼女がそのような少人数での会談に同席したことは、話の内容にかかわらず不適切だと述べた。

ブライアン氏は、このような事例からも、トランプ次期大統領が資産をブラインド・トラスト(白紙委任信託)に移すべきであることがわかると言う。ブライアン氏の提案によると、このブラインド・トラストでは子どもたちが資産を管理するのではなく、独立した第三者が管理を行うという。「利益相反のある人物を、ホワイトハウスの業務に含めることはできない」と、ブライアン氏は話す。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は18日付の論説で、次期大統領はホテルやゴルフ場などの資産をすべて売却し、その資金をブラインド・トラストに入れるようにと促した。それがあらゆる利益相反を避ける唯一の道だという。

(執筆:Eric Lipton記者、翻訳:東方雅美)

© 2016 New York Times News Service
 

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