仕事のできない人は悪徳セミナーに騙される 裏側にある「巻き上げ」のカラクリを知れ

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Aさんいわく、セミナーが終わったあと一人ひとりに強くクロージングをかければ、ほとんどの人が高額なバックエンド商品を購入するとのこと。バックエンド商品とは集客のためのフロントエンド商品の裏側に控える、主催者が本当に売りたい高額商品のことです。

もちろん、高額商品が売れれば私の会社の懐はうるおいますが、無理に売りつけるのは、顧客のためにも自分のためにもならないと思い、このアドバイスは聞き流しました。やはり商品を購入するかどうかは、顧客の意思に任せるのが真っ当な商売のあり方だと思います。

ノウハウを出し惜しみするセミナーも要注意

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しかし、実際にはAさんが言うような強烈なクロージングをかけてくるセミナーは存在します。悪質なものになると、高額商品を買うまで帰さないセミナーもあると聞きます。セミナーの参加者は、高額になればなるほど、納得したうえで商品の購入を決断したほうがいいでしょう。セミナー直後は気分が高揚しているので、勢いにまかせて財布のひもを緩めてしまいがちですからなおさら気をつけなければいけません。

そもそも、バックエンド商品をしつこく売るようなセミナーは、良心的だとはいえません。ノウハウを出し惜しみするセミナーも要注意です。期待感を高めるばかりで、具体的なノウハウが出てこない場合は、うしろに高額商品が控えている可能性があります。良質なセミナーは、3000円の参加費でも決してノウハウの出し惜しみはしません。

また、知り合いの紹介を義務付けるマルチ商法的なセミナーにも近づいてはいけません。「セミナーの内容がよかったから」と自分の意思で紹介するのはいいですが、参加者にノルマを与えて参加者(信者)同士を競争させるようなセミナーは、受講者の幸せよりも、自分たちの金儲けを優先していると言わざるをえません。

松尾 昭仁 独立・起業コンサルタント、ネクストサービス代表

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まつお あきひと / Akihito Matsuo

大学卒業後、業界大手の総合人材サービス企業を経て、コンサルタントとして独立。自身が企画し講師を務めるビジネスセミナーの参加者は延べ1万人を超え。その中から500人以上の各種講師や、150人を超えるビジネス著者を世に送り出す。著作は25冊。執筆した本は中国、韓国、台湾、タイ王国でも翻訳出版されている。京都女子大学などの高等教育機関、東京商工会議所をはじめとする各種団体、SMBCコンサルティング、リクルート、明治安田生命などの民間企業より講演・セミナー、研修依頼を受ける。
http://www.next-s.net

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