”こだわりすぎない”ベーグル屋の堅実戦略 「派手さはないけど、実がある」商売

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――KINOのベーグルにすっかりハマりました。どんどん食べられる味と食感ですね。何か秘密の製法があるのでしょうか。

私たちがおいしいと思えて、お客さんの幅を狭めすぎないベーグルを作ることだけを考えています。それ以外のこだわりはありません。小麦だけは北海道産のものを使っていますが、それは私たちが(外国産の小麦との)味の違いを本当に感じるからです。

オーガニックとかマクロビ(マクロビオティック)みたいなこだわりは、私たちのように健康な人間には必要ないと思います。体に優しいことを気にするよりも、おいしくたくさん食べて元気になりたい。天然酵母も使っていません。かえって食べにくい味になることもあるし、値段が上がってしまうからです

――わかりやすい「こだわり」ポイントがないと、うたい文句が弱くなりませんか。

そうですね。カフェをやっていたときからのリピーターは多いのですが、新規のお客さんはまだ少ないです。せっかく通販でやっているので、愛知県内でない人にも買ってほしい。友だちからも「恥ずかしがらずに売り込んでいったほうがいいよ。もっと人脈を広げたほうがいい」とアドバイスされました。今日はいい機会ですね(笑)。店舗がない分、パッケージやコピーは工夫しています。

やっぱり味が勝負

販売方法も試行錯誤中です。(通販形態にした)当初はプレーンベーグル1種類だけで、10個・20個・30個のセットのみで販売していました。でも、初めての人には買いにくいかもしれないと反省して、ベーグルの種類を増やしたり、少ない数のセットを作ったり、送料無料サービスを実施しています。

いろいろやってみてわかったのは、うちみたいに小さな店は、やっぱり味が勝負だということ。手作りする数には限りがあるので、楽天などには出店しません。でも、「旦那さんがいるから趣味的にやっている」仕事は嫌です。ちゃんと成り立たせていきたい。金銭的な目標? (妹と)2人が自動車関連会社のOLぐらいは稼げるようになることですね。

2歳下の妹・祥子さんの夫はIT関連のエンジニア。WEBショップの構築に力を貸してくれました。

――自動車関連会社が基準というのが愛知県人らしいですね(笑)。飲食を仕事にしようと思ったのはなぜですか。

短大時代は出版関係にあこがれていました。高校生のころから雑誌『オリーブ』(2000年に休刊)が大好きだったからです。でも、私の通った短大は就職率の高さが売りだったので、就職課に相談したら「出版は狭き門だよ」と愛知県内の銀行やメーカーを勧められました。それで就職活動自体が嫌になってしまって、さまよい出したのです。

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