自民新人議員、「核燃料サイクルは破綻」 安倍政権の原発推進に真っ向反論

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現状は何もかもうまくいっていない。各原発では使用済み燃料プールが燃料であふれ、六ヶ所村の再処理工場は何十回も延期していまだに稼働できず、何兆円もの予算をつぎ込んできた。仮に再処理工場が動いたとしても、プルトニウムがどんどん貯まっていく。すでに日本には、米国の核弾頭(に使われている量)よりも多いプルトニウム(約45トン)が存在する。日本に対する国際的な核武装への疑念が高まるとともに、テロの対象となる拭いきれない不安もある。

“裏のコスト”が税金や電気料金に転嫁されている

それで、プルトニウムを燃やそうというわけだが、(プルトニウムを燃料とする)高速増殖炉もんじゅはどうか。先日も1万点近い点検漏れというトラブルが発覚した。私が生まれる前から計画があって、いまだに実用化のメドが立たない。政府の公式見解でも2050年までは実用化できない。そこへ年間200億円以上の予算がつぎ込まれている。

私が先日、国会で質問した茨城県東海村のリサイクル機器試験施設(RETF)にしても、もんじゅの使用済み燃料の再処理が目的であり、もんじゅが動かないのでは意味がない。そうした施設を800億円以上かけて建設し、いまだに固定資産税や維持費として毎年1億円以上も使っているのは、どう考えてもおかしい。

こうした核燃料サイクル政策の“裏のコスト”はいったいどれくらいあるのか。3・11(東日本大震災)後は少しずつ表に出てきているが、それ以前はほとんどブラックボックスだった。そうしたコストは税金や電気料金に転嫁されて、国民の懐を直撃している。

もんじゅが動かないので、プルサーマル政策を始めたが、こちらもすでに問題は山積している。核燃料サイクルによるバックエンド費用(再処理工場の操業・廃止費用や廃棄物処分費用など)は18.8兆円と試算されているが、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の処理費用は入っていない。ウラン資源の節約とも言うが、MOX燃料はウラン9に対してプルトニウム1の割合。つまり1割の節約でしかない。ウランの節約ならば、海に無尽蔵にある海洋ウランの採取技術向上に予算を使ったほうがより効果的ではないか。

日本の核燃料サイクル政策は破綻している。それを続けることによる負担が、血税や電気料金を通じて国民の肩に重くのしかかってきている。

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