成果が出ない人は「学びの深さ」に原因がある 「セミナージプシー」に陥る人は本質から遠い

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当時の私のケースで説明すると「プロを育てるプロになりたい」という目標設定から始まり、3年後の中期目標として「人材戦略領域のプロ」を設定し、その目標が達成されたことを示す定量的、もしくは他人が認める実現レベルとして、「人材戦略領域で現時点のリーダーを超えて認知されている」という目標を設定し、さらにこの一年間何をするのかという短期的な行動目標を決めました。

このようにすることで、学習にも集中力が入りますし、挫折を防ぐこともできます。私の場合にはさらに中期目標について、当時のリーダーがいるミーティングで公言してしまいました。大勢の前で、「3年後には私があなたを超えてみせる」と宣言してしまったわけです。こうすると自分にプレッシャーをかけて追い込む作戦なんだなと思われることが多いのですが、むしろ逆で、学習やキャリア実現が楽になるのです。

わからないことは堂々と聞くべき

コツ2:「闇練」せずにオープンにする

このエピソードとも関係しますが、2つ目のコツとしては、こっそりと勉強せずに堂々とオープンにしてしまうというものです。

私はコンサルタントとして駆け出しの頃は知らないことばかりなのが恥ずかしくて、誰にも言わずにこっそり本を読んだり、オープンセミナーに参加したり、いわゆる“闇練”をしていました。しかし、思ったほどはかどらず、全然知識がものにならずに焦り始めた頃に、他業界から転職されてきた方が、堂々と「それ、わからないので何をしたらいいのか教えて下さい。その領域の専門性を高めたいんです」と聞くのを見て、自分のやり方は間違っていたと悟りました。その人はいろいろな人からアドバイスや情報をもらって、ものすごいスピードで学んでいったからです。

下手なプライドなら無いほうがまし、という言い方もできますが、現代のビジネスは細分化と深化がどんどんと進んでいます。「知っていて当たり前」のことはどんどんと領域は狭くなっているのです。業界や部門が変わったら知らないことがあって当たり前です。新しいことにチャレンジしていく時には、多くの人の知恵を思い切り活用しなければ、なかなか学びは深まらないのです。

私のおすすめは自分が何を学びたいかをオープンにするだけではなく、学んでいる過程もオープンにしてしまうことです。たとえば、ブログやSNSなどいろいろなツールで、自分が読んだ本の所感や得られた示唆などを、定期的に発表するのです。非常に短期間で習得したいのであれば、毎日アップするということを所信表明としてあげてしまってもよいでしょう。

なかなかハードルが高いと思う人もいるかもしれませんが、こうすることで、アドバイスや情報がどんどん集まってくるのです。さらに挫折しそうな時も、「いつも楽しみにしているよ」「頑張っているね」などのコメントのおかげで、あと少し頑張ろうという明るく前向きな気持ちになれます。人は頑張って学ぼうとしている人には驚くほど好意的です。これは黙ってこっそり闇練していては苦しいだけで、決して得られないことです。自分が学びたいこと、学ぶ過程をオープンにしてみてください。

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