英語を話せる人は何を「音読」しているのか? 話せない「根本的理由」から見える対策

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ここで、少し冷静に考えてみてください。それはもしかして、決まり文句やあいさつ文を覚えただけではないでしょうか。英語を趣味として楽しみたい人が、海外旅行に役立つ会話を覚えるのであれば、それで十分かもしれません。しかし、それだけでは仕事の現場で「結果を出す」ことはできません。ビジネスでは発言の中身が問われます。内容のある発言をするためには、当然ながら事前の準備が不可欠です。

ビジネスで成果をあげる人たちは、話すべきことの整理収集を習慣にしています。いわば「ネタの仕込み」です。うれしいことに、それは仕事以外にも役立ちます。持ちネタが増えると、外国人とも自然に「中身のある」会話が続けられるようになります。英語が話せている実感が生まれるので、義務だと思っていた英語が楽しくなります。

自分は英語が話せない。そう思っている人は、自分自身に問いかけてみてください。あなたは「話すネタ」を持っていますか。

「自分が書いた文章」を音読しよう

では「話すネタ」は、どのように仕込んでいけばいいのでしょうか。

まず大前提として、英語学習(というよりも語学全般)において、音読は圧倒的に重要です。音読とは「自分が読んだことを自分の口で話し、それを自分の耳で聞く」ことです。「読む」「話す」「聞く」を同時にこなすことになる音読は、英語の実践力強化に直結します。

この音読をさらに一歩進める方法があります。それが「自分が書いた文章の音読」です。先ほどの「読む」「話す」「聞く」に「書く」が加わりますので、英語の4技能がそろい踏みすることになります。これで力がつかないはずがありません。ちまたではやりの「英語の聞き流し」とは、その効果に雲泥の差があります。

一般的な音読の素材としては、英文講読用の教科書やニュース記事などが挙げられます。また、洋楽を口ずさむことも立派な音読です。ただし、いずれにしても、それは「他人が書いた文章」です。自分の意見でもなければ、声を大にして言いたいことでもありません。

一方、自分が書いた文章は自分の意見そのものです。ビジネスパーソンが書くべき英文は、「自分の考え」をあらかじめ整理しておくものです。当然、他の音読素材に比べて実際に話す可能性が高くなります。

そのようにして作った文章は、音読を重ねることによって「自分の言葉」として定着していきます。話す必要があることを、あるいは話したいことを、最初から話すつもりで書いているのですから、そこには不要な語彙も文法もありません。すべてが実践に直結します。

具体的な文章の書き方は、以前「英語がペラペラになる『魔法の5行エッセイ』」という記事でご紹介しました。新刊『プロフェッショナル イングリッシュ』でも、詳細に解説しています。

これらを参考にしながら書いた文章を、自信を持って音読する習慣をつけてください。「話せる人」は、そこから始めています。

青野 仲達 ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授

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あおの ちゅうたつ / Chutatsu Aono

ブルーフィールド株式会社代表取締役社長。早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業。アメリカン・エキスプレスを経て、ハーバード大学経営大学院(Harvard Business School)にてMBAを取得。米国ボストンで世界最大級のオンライン英会話スクールとなったイングリッシュタウンの創業に携わり、2004年に株式会社GABA(Gabaマンツーマン英会話)を設立、2006年に代表取締役社長として東証マザーズ上場を果たす。著書に『MBA式英語学習法』(PHP研究所)、『リーダーになる人の英語力』(かんき出版)、『グローバル時代を生き抜くための ハーバード式英語学習法』『欧米人を論理的に説得するための ハーバード式ロジカル英語』(秀和システム)などがある。

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