“毒ガス”を無届け製造 石原産業にまたも捜索の手

“毒ガス”を無届け製造 石原産業にまたも捜索の手

酸化チタンの大手メーカー、石原産業にまたも警察による捜索の手が入った。2006年11月の土壌埋め戻し材「フェロシルト」不法投棄事件、07年11月の有機物残渣(ざんさ)投棄事件に続き、強制捜査は今回で3度目だ。容疑は有毒ガス「ホスゲン」を無届け製造したという化学兵器禁止法違反。先に経済産業省が告発していた。

3件の不祥事とも、佐藤驍(たけし)・元取締役四日市工場副工場長が主導したもので、「組織ぐるみではない」と会社側は主張する。確かに過去の捜査などでも、部下の異議を佐藤元副工場長が聞かず、違法行為へと強引に走った経緯が浮かんでいる。だが、個人犯罪としては事の本質を見誤る。

同社は主力の酸化チタンの低収益に苦しんできた。1997年に生産構造再構築計画を策定、その一環で始動したのがフェロシルト開発だった。酸化チタンの製造で出る大量の廃棄物を「リサイクル商品」に仕立て上げる計画だ。まさに「夢の商品」(炭野泰男取締役)というわけである。しかし、実際には環境商品としては未完成。販売価格の20倍の費用を処理業者に支払い、裏で不法投棄していた。

佐藤元副工場長は「廃棄物など出口処理に詳しい」(同)人物だったとされ、開発を主導した。経営不振下、歪んだ利益優先体質も、佐藤元副工場長に「足を踏み外させる」プレッシャーとして働いたようだ。

底流には隠蔽体質

職制や労働組合などを通じても不正情報は上げられず、外にわからなければ良しとする隠蔽体質も問題を大きくした。田村藤夫前社長は有機物残渣の不法投棄を05年8月に知りながら2年もの間、社内外に公表しなかった。「フェロシルトの回収に追われていた」ことをその理由に挙げていたが、トップの順法意識欠如が組織全体に悪い影響を与えないはずがない。

昨年6月に就任した織田健造社長は今年3月、国内全社員1600人に文書で聞き取り調査を実施した。その結果、5月中旬にホスゲンの無届け製造など不正事案7件を自主公表した。四日市市民への説明会や工場見学の実施など信頼回復に向けた新たな動きも見せている。しかし、それは本物なのか、地元も含め外部の視線はまだまだ厳しい。
(大西富士男 =週刊東洋経済)

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